お天気ニュースで花粉症情報が伝えられる季節になりました。花粉症がある人は、その情報に敏感になっているのではないでしょうか。
花粉症の症状はくしゃみや鼻水ですが、人によってはだるさや眠気を感じることもあるようです。今回は、その花粉症のだるさ・眠気について考えてみたいと思います。
花粉症のしくみ
季節性アレルギー性鼻炎である花粉症は、日本では2月-4月頃に飛散するスギの花粉が原因のことが多いのですが、それ以外の時期に開花する植物の花粉が原因で発症する人もいます。
アレルギーの原因となる物質をアレルゲンといいます。アレルゲンが身体の中に入るとまず異物を認識するマクロファージという細胞に出合います。
それがT細胞に送られてアレルゲンと結びつきひとつの複合体を形成します。複合体が作られるとIgEという抗体ができ、それがアレルゲンと反応することによって身体に有害な状態が生じます。
IgE抗体が集まるマスト細胞がたくさん持つヒスタミンという身体を活発にする物質が広がってその場所に症状が起こります。鼻の場合は鼻炎症状が、気管の場合は喘息が、皮膚の場合には皮膚炎が起こります。
花粉症による眠気について
眠気の原因
花粉症と眠気には、どんな関連性があるのでしょうか。その理由を見ていくことにしましょう。
原因1.春は眠い季節
そもそも春というのは、眠気を誘いやすい季節です。気温の変化が激しくなるので、自律神経がその変化に対応しきれなくなり、それが原因で眠気や気だるさが引き起こされます。
また、暖かくなると体内のさまざまな器官の働きが活発になり、エネルギーを消費しやすくなります。このことも、春に眠くなる原因とされています。
原因2.鼻づまり
花粉症の症状として、真っ先に思い浮かぶのは、鼻水・鼻づまりではないでしょうか? この鼻づまりが眠気の原因となっていることもあります。
鼻づまりが酷いとなかなか寝付けなくなり、そのせいでしっかりと睡眠を取ることができなくなります。そして、夜寝れない分、昼眠くなるのです。
原因3.薬に含まれる成分が原因になることも
花粉症で処方される薬には、眠気を誘う成分が含まれているものが多くあります。代表的なものは、抗ヒスタミン薬で、くしゃみや鼻水を抑える効果がありますが、副作用として眠気や頭がボーっとするなどの症状が見られます。
眠気の対処法
そんな花粉症の眠気に打ち勝つために、どんな対処法があるのでしょうか。
対処法1.「第2世代」の薬を使用
抗ヒスタミン薬は大きく分けて、第1世代と第2世代の2種類に分けられます。第2世代の抗ヒスタミン薬には眠気を誘う成分が少量しか含まれていません。
ですので、花粉症のための薬を買うときには、「第1世代か、第2世代か」に注意して薬を選ぶようにしましょう。
ちなみに、第2世代の抗ヒスタミン薬で市販されている薬には、アレグラFXがあります。
対処法2.睡眠をしっかりとる
仕事や学校などで忙しいと、なかなか難しいかもしれませんが、最低でも6時間は眠るようにしてください。
眠りが浅かったり、寝付けなかったりする場合には、就寝前にしっかりと湯船に浸かって、血行をよくしておくことで睡眠の質を高めることができます。
対処法3.お酒やタバコを控える
飲酒や喫煙も症状を悪化させる原因になります。どちらもなかなかやめずらいところがあると思います。花粉症を発症している間は量を減らすように努めましょう。
対処法4.乳酸菌を摂取
「花粉症には、ヨーグルトがいい」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
周知の事実かもしれませんが、乳酸菌は腸内環境を正常に整えてくれます。そして、腸内環境が整うことによって、免疫力が向上し、花粉症の症状が軽減されます。
また、花粉症予防のために薬を服用していることも腸内環境の悪化に繋がります。ですので、できるだけヨーグルトなどの乳酸菌の含まれたている食品を食べるようにしましょう。
対処法5.ビタミンB群を摂取
ビタミンB群が不足すると、疲労や気だるさの原因となります。ですので、納豆やサプリメントなどビタミンB群が多く含まれて食べ物を積極的に食べるようにしてください。
対処法6.鼻づまりを解消する
根本的に鼻づまりから解消する工夫も眠気防止に有効です。そのための手段としては鼻洗浄などがあります。
病院などで処方されている薬で、鼻水を止めることはできますが、花粉などが鼻の粘膜に付着したままでは、薬を飲んだとしても効果は薄いものとなります。
そこでお勧めが鼻洗浄などで、粘膜に付着している花粉を洗い流すことです。自宅では洗面器に水をためて塩を溶かし、鼻から吸い込んで口から吐き出すことを2、3回繰り返すといいでしょう。
オフィスなどのシーンでは点鼻薬や携帯式鼻洗浄器などで花粉を洗い流すと良いでしょう。また、体を温めて血行を改善させることでも鼻づまり解消効果が期待できます。
血行が促進されると、体内の免疫機能が活発になるので、必然的に鼻粘膜の機能も高まります。結果として鼻水が多く分泌されますが、その分付着している花粉も排出されやすくなります。
花粉症によるだるさについて
だるい原因
原因1.鼻づまり
花粉症がひどくなると鼻の粘膜が腫れて鼻づまりがひどくなります。息苦しくて夜眠れなくなることで日中にボーッとしてしまいます。眠気のためにだるくなったり、頭痛が起きてしまいます。
原因2.大量の花粉が一気に飛んだ
花粉が一気に身体の中に入ると、アレルギー反応が過剰になって微熱が出たり、だるくなることもあります。
原因3.副鼻腔炎を併発
鼻づまりがひどくなると、粘液を含んだ鼻水が絶えず前に出たりのどに回ったりします。そこに細菌がつくことで炎症が起きて、副鼻腔炎を起こします。膿が目の下にある上顎洞に溜まって痛みを感じたり、発熱することでだるさが現れます。
だるいときの対処法
花粉症によって感じるだるさを取り除くには、いかに花粉に触れないかという点にかかってきます。風邪薬などの市販薬などによって、一時的に症状を和らげることはできます。
ですが、残念なことにあまり効果的とは言えません。原因となっている花粉などを体外へと追い出さない限りは、同じような症状に悩まされることになります。
薬は効果的ではありませんが、他の方法で花粉症を予防することならできます。
対処法1.マスク
基本的な花粉侵入対処法はマスクを着用することです。マスクの着用には意味が無いとも言われがちですが、花粉症の人にとってはその限りではありません。
マスクの着用が無意味と言われるのは、ウイルスの侵入を防ぐときに言われていることです。
花粉はウイルスに比べれば非常に大きいものですから、マスクを着用することで体内への侵入を防ぎ、花粉症の症状を緩和させることができます。
対処法2.保護メガネ
花粉症対策には保護メガネも有効です。機能性を重視しているため、デザインで不満を覚える人も多いことでしょうが花粉を体内へ侵入させないためには必要なツールです。
目に花粉が付着すると、まず涙が止まらなくなります。それを放置したままでいると、目を保護するための水分が不足し乾燥を招きます。
そうすると、そこから体内へ花粉が侵入することがあります。そうならないためにも保護めがねの着用は意味があるのことです。
対処法3.洗顔
外出した後に軽く洗顔をするのも、花粉症の症状を緩和させるためには有効的な手段です。外に出ていると、どうしても気付かないうちに花粉まみれになっていることがあります。
そのため、ちょっとした動きなどで花粉が舞い上がり、それを吸い込んでしまうことで、一気に症状に悩まされることがあります。それを防止するには、外出後は手洗い、洗顔を習慣づけるようにすることがお勧めです。
洗顔方法もぬるま湯などで軽くなでるように洗顔するようにしましょう。力を入れすぎるとかえって肌を傷つけ、花粉症による肌荒れを招くリスクがあります。
花粉症を放っておくと
花粉症などのアレルギー性鼻炎は命にかかわるような病気ではありません。しかし、アレルギー性鼻炎がひどいからといって、仕事や学校を休むわけにはいきません。そのため生活上の支障が起きて生活の質が低下してしまいます。
治療やセルフケアをしないで放っておくと、だんだんIgE抗体が体中で増加してしまい症状が悪化します。始めはそれほどでもなかった鼻の症状が徐々にひどくなって、アレルギー体質が進んでしまうのです。
そのため早めに体質の改善や治療で症状を抑え、重症化しないようにしていくことが大切なのです。
最後に
花粉が飛散する約2週間前から、抗アレルギー剤を使用し始めることで症状を緩和することができます。花粉症がひどい人は、早めに耳鼻科などを受診して、薬を処方してもらいましょう。