耳に水が入ったわけではないのに、耳の中に水がたまったということはありませんか?。子どもが急に耳を痛がったり耳から水のようなものが出てきたら、それは中耳炎かもしれません。今回は、耳の中に水がたまる原因と治療法を紹介していきたいと思います。
耳の中に水がたまる原因
記事の冒頭でも書きましたが、耳の中に水が溜まってしまう場合には、中耳炎を発症している可能性があります。また、中耳炎には大きく分けて、急性中耳炎と滲出性中耳炎があります。ここでは、それぞれの中耳炎を発症してしまう原因について見ていきます。
急性中耳炎
急性中耳炎は風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの経過中に耳管と呼ばれる鼻と耳を繋ぐ管が細菌に感染することで生じる病気です。
鼓膜の内側の中耳内に水のような分泌物がたまり、耳が痛くなったり、耳だれ、難聴などの症状が起こります。炎症が進むと、中耳にたまった液が鼓膜を破って出てきます。しかし、こうなる前の段階に、液が鼓膜を圧迫して強い痛みを感じることがほとんどになります。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎も鼓膜の奥の中耳腔に液体がたまる病気です。この液体はさらさらしたものから粘りがあるものまであります。
中耳腔にこのような液体がたまると、鼓膜や耳小骨動きが悪くなり外耳道を伝わってきた音が、鼓膜から耳小骨そして内耳へきちんと伝わらなくなり、聞こえが悪くなります。
滲出性中耳炎になりやすいのは、風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などがよくあり、いつも鼻水が出ている人や、いびきが多い人、急性中耳炎をよく繰り返す人、生まれつき耳の機能が弱い人などになります。
滲出性中耳炎の症状は、山に登ったときのように耳がボーンとしてつまった感じがしたり自分の声が耳に響く、耳の中で水の音がする、耳が聞こえにくくなるなどになります。
急性中耳炎のように急な耳の痛みがないため、子どもが滲出性中耳炎になった場合、なかなか見つからないことがあります。
下に記したような症状や徴候が見られたら、一度、耳鼻咽喉科を受診してみましょう。
- テレビの音を大きくする
- 大きな声で話す
- 呼んでも振り向かない
- 呼んでも返事をしない
- 中耳炎を繰り返す
- 風邪の後鼻水が長引きやすい
- 扁桃炎を繰り返す
また、赤ちゃんの場合は以下のような症状も注視しましょう。
- よく耳に手を持っていく
- 風邪の後、機嫌が悪い
- 音を立てても音の方を向かない
治療法は?
急性中耳炎と滲出性中耳炎、どちらの中耳炎を発症しているかによって治療法も異なります。それぞれ、詳しく見ておきましょう。
急性中耳炎
中耳に膿がたまっているときや、急に悪くなったときには抗生物質が有効です。それに加えて、鼻や喉の症状を良くするためにアレルギーの薬や炎症を抑える薬、点耳薬などが処方されます。
また、炎症が強く、耳の痛みがひどいときは鼓膜を切開してたまった膿を出す治療をします。
「鼓膜を切っても大丈夫なの?」と心配する人もいますが、膿がたくさんたまっているときは中耳全体が鼓膜を含めて強く傷つけられている状態です。
切開することで圧迫を除き、膿を出す方が早く治ることが多いのです。この穴は普通、2〜3日で閉じてきます。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎の治療も基本的には急性中耳炎と同じ治療法が行われます。慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、咽頭炎、喘息などの治療も耳の経過を見ながら行います。
滲出性中耳炎も進行すると鼓膜切開をすることもあります。しかし、急性中耳炎と違って、穴が閉じてしまうとすぐにまた液がたまってくる人もいます。
このような場合は、鼓膜切開をした後に耳管を通じて空気を送ることが重要になります。鼓膜にチューブを入れて、穴が塞がらないようにします。このチューブは数ヶ月経つと自然に外れてきます。
まとめ
中耳炎を中心にお話ししてきましたが、中耳炎は2〜3日で完治する病気ではありません。痛みがなくなっても、耳の中にまだ水がたまっている場合が多いので、耳鼻科医が良いと言うまでは通院するようにしましょう。