口腔内には1g中に10の11乗程度の細菌があると言われ、中には病原細菌も含まれています。体の中に侵入するとダメージが生じてしまいますが、唾液の持つ殺菌作用によってそれらの細菌が増加するのを抑え身体が守られています。
このように私たちの健康に重要な役割を持つ唾液の殺菌成分や効果などについてご紹介したいと思います。
目次
唾液に含まれる殺菌成分一覧
唾液は唾液腺から口腔内に分泌され1日に約1~1.5ℓ程度の量が正常とされています。
唾液の中に含まれる多くの物資の中で殺菌・抗菌作用もつものには次のようなものがあります。
リゾチーム
リゾチームは抗菌作用を持った酵素で、唾液以外にも涙、汗、リンパ腺、腸管、鼻粘膜など身体の中にひろく分布し色々な細菌感染から身体を守る生命維持に欠かせない成分です。
ラクトフェリン
ラクトフェリンは唾液や涙、母乳などに含まれる抗菌作用を持ったタンパク質で侵入してきた細菌やウイルスの攻撃を防ぐ防御因子の1つです。
細菌の餌となる鉄分と結合する事で細菌の増殖を抑制しますので歯周病や口臭の防止に効果があります。
ヒスタチン
ヒスタチンは細菌や真菌の膜に結合する事でつよい抗菌・抗真作用を持つ成分です。また、傷口を塞ぐ効果もあります。
ベルオキシダーゼ
ベルオキシダーゼは酵素の一種で活性酵素を消し、発がん物質を減弱させる効果があります。よく噛むことにより分泌が促進されます。
アグルチニン
細菌の増殖を抑制したり、殺菌する働きがあります。
ディフェンシン
ディフェンシンはタンパク質の一種でバクテリア、真菌、ウイルスに対し抗菌活性をもっていて粘膜上皮の感染防御に関与しています。
免疫グロブリンlga・lgG
免疫グロブリンとは身体を異物から守ってくれる抗体のことでいくつかの種類があり、唾液には主に免疫グロブリンlga、lgGが含まれています。
lgaは粘膜の表面に存在し細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きに関係し、lgGは最も量が多いグロブリンで侵入してきた細菌やウイルスの抗原と結合して白血球の働きを助けます。
まとめ
唾液には食べ物の咀嚼などの時だけでなく、身体全体にとって重要な働きがある事がわかります。しかし、空気が乾燥する季節や口呼吸など身の回りの環境や生活習慣で唾液量が減ってしまう事も少なくありません。
ふだん、あまり気にかける事はないかもしれませんが、この機会に口腔内にたっぷりの唾液があるかを意識し、殺菌・抗菌に努めるようにするといいですね。