頭痛はほとんどの方が経験しているほど、誰にでも起こる症状ですが、長く続いたり、痛みの度合いが激しい場合などは注意が必要です。
とくに右側だけに痛みを感じる場合、単なる一過性の頭痛では終わらない可能性も秘めています。そこで、今回は、右側の頭痛に潜む病気をご紹介したいと思います。
目次
右側に起こる頭痛で考えられることは?
頭痛でも頭部の右側にだけ痛みを感じる場合、どのような病気が挙げられるのでしょうか。以下に詳しい症状とともに記します。
片頭痛
慢性片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛の3つに分けられます。慢性片頭痛と緊張型頭痛はとくに女性に多くみられ、週に1回~月に1回の頻度でよく起こります。
症状としては左右どちらかの頭に痛みを感じるほか、ひどい場合では吐き気や視界が狭まる、音や光に敏感になります。
原因は特定されていませんが、ストレスや肩や首のコリからくる血流の悪化、飲酒や喫煙などの生活習慣、低気圧による影響などさまざまな要因が指摘されています。
群発性頭痛は毎日同じような時間帯に突然強烈な頭痛が起き、仕事はおろか普段の生活すらままならなくなってしまいます。こちらは比較的男性に多くみられます。
脳腫瘍
頭蓋骨に腫瘍ができる病気で、起床時に強烈な頭痛を感じることがあり、とくに頭頂部や右側にこのような痛みを感じる場合は、脳腫瘍の可能性が疑われます。そのほかの症状として吐き気や目の前がぼやけるなどもみられます。
副鼻腔炎
蓄膿症ともいいます。これは鼻水がうまく排出されないことで、副鼻腔と言われる鼻の横あたりに広がる空洞や額のあたりに膿が溜まってしまい、左右どちらかの頭部に痛みを感じます。抗生物質による殺菌や、耳鼻科での膿の排出処置が講じられ、重症の場合は手術を行うこともあります。
くも膜下出血
脳を保護する髄膜の1つであるくも膜とその付近にある軟膜との間に出血が起こり、強い痛みを感じます。バットで殴られたような強烈な痛みが特徴ですが、軽度の場合は意識障害にまでは至らないケースもあります。
慢性硬膜下血腫
硬膜とくも膜の間に血腫ができる病気です。外部からの衝撃によって起こります。
脳出血
脳組織の中で起こる出血で、どの部位にも発生する可能性がありますので、右側に生じた場合は右側にのみ痛みを感じます。
髄膜炎
細菌やウイルスに感染することで髄膜に炎症が生じ、強い頭痛と発熱、首の筋肉の硬直などが見られます。
それぞれの対処法は?
先ほど挙げた右側頭痛で考えられる症状が起こったら、まずはどのように対処すべきなのでしょうか。次に対処法をみていきたいと思います。
片頭痛の場合
片頭痛は放置しても死に至る危険性はほとんどありませんが、日常生活にも支障が出ますし、一番本人が辛い思いをしてしまいます。
そこで片頭痛になってしまったら、アスピリンやロキソニンといった鎮痛剤を痛みを感じ始めた段階から早めに飲むことをおすすめします。また、片頭痛では血管の拡張が起こると言われていますので、頭部は暖めず冷やすほうが改善につながります。
脳腫瘍の場合
脳の腫瘍は放置して自然に治ることはありません。拡大や転移を防ぐためにも早めに摘出処置を受けることが肝心です。脳神経外科など専門機関での診察と治療を一刻も早く行いましょう。
副鼻腔炎の場合
こちらも深刻な事態には陥りませんが、中には日常生活に支障をきたす方もいますので、耳鼻科での診断のもと、抗生物質の服用や膿を排出する治療を受けましょう。手術は内視鏡を使って病巣粘膜やポリープの除去がメジャーな手法です。
くも膜下出血・慢性硬膜下血腫・脳出血・髄膜炎の場合
これらはいずれも生命の存続にかかわる重大な病気ですので、一刻も早く医療機関での治療が必要です。これらの治療には、痛みの元となっている腫瘍や出血の除去といった大がかりな手術が必要で、助かっても運動神経や言語、意識などに後遺症が残ることもあります。
まとめ
右側の頭痛には重大な病気も隠れています。単なる頭痛だと思って放置せず、薬を飲んでも、安静にしても治らない、長引く、経験したことのないような強烈な痛みの場合は一刻も早く脳神経外科での受診をおすすめします。取り返しのつかないことにだけはならないよう、我慢は禁物です。