爪はある程度の硬さがあることにより、手先の爪は物をつかんだり、足の爪はしっかりと踏ん張りからだを安定させたりする役割もしています。
この硬い爪は皮膚の一部が変形したもので、ケラチンというタンパク質でできています。健康状態が悪いと肌荒れなどが起こるのと同じように爪にも影響が現れます。
年齢や個人差はありますが、血流や代謝など健康なからだや十分な栄養が行き渡っていれば、通常、爪は毎日0.1~0.15mmずつ伸びていきます。
爪がほとんど伸びない状態であることはなんらかの原因があると考えられます。ここでは、爪が伸びない病気についてご紹介致します。
爪囲炎
「そういえん」と読みます。爪の周りが細菌感染をし、腫れや痛み、膿などがたまるなどして炎症を起こしている状態です。爪の周りの皮膚の炎症状態により、爪が伸びにくくなることがあります。
爪の周りの皮膚の荒れや、深爪、ささくれなど小さな傷から、主に黄色ブドウ球菌などが入り込むことにより発症します。他にも、大腸菌や緑膿菌、化膿性連鎖球菌などの細菌が原因の場合もあります。
指先の皮膚の赤み、痛みや腫れなどの状態を爪囲炎、膿などの症状や皮膚の深部にまで進行したものを「ひょう疽(ひょうそ)」といわれますが、明確な区別は難しく症状は重なっていることが多くあります。
菌ではない感染では、カビによる「カンジダ性爪囲炎」があり、この場合は、強い痛みなどがあることは少なく、爪の周りの赤みやかさぶたなどの症状があります。
爪周囲の皮膚のみの軽度の場合は抗菌薬が処方され、膿をもった箇所を切開し、膿を排出させる処置をおこないます。
黄色爪症候群
「おうしょくそうしょうこうぐん」と読みます。爪が黄色になると共に、からだのむくみや肺に水がたまるなどの症状もあらわれることがある全身疾患です。
発症すると爪が伸びにくくなり、健康な人の5分の1から10分の1の速度になります。
からだのむくみは、顔や足などが目立つようになり80%の人に現れ、60%の人は「胸水貯留(きょうすいちょりゅう)」という病気で肺に水がたまる症状がでるといわれています。
「がん」や「糖尿病」などの病気を合併していることもあり、詳しい検査が必要です。治療薬は特になく症状に合わせた対処療法がおこなわれます。
合併している病気が発見されれば、その病気の治療をおこないながら、ビオチンの内服、ビタミンEの内服や外用薬の使用、ステロイド薬の局所注射などをおこないます。
冷え性
手足の血流が滞る冷え性でも爪が伸びる速度が遅くなります。多くの女性の悩みでもある冷え症は、男性に比べ筋肉量が少なかったり、低血圧や貧血であったりなども影響します。
気温の低い冬はもちろんですが、通常寒さを感じないくらいの温度であっても、手足の先や下半身、人によっては、全身が冷えを感じるつらい症状がでます。
人は寒さを感じると皮膚の表面や手足の末端の血管を収縮させて、熱が逃げることを防ぎ内臓に血液が集まることにより、からだの機能を維持していきます。
男性や高齢者でも動脈硬化などが進んでいると手足への血流が十分でなくなります。加えて、生活習慣病なども関係している場合もあります。
まとめ
爪は健康状態がそのまま現れやすい箇所の1つです。内臓の病気や貧血、栄養素が不足していないかどうかなど、さまざまなサインが隠れています。
爪になんらかの変化が現れた場合には、健康診断を受けたり、ストレスや睡眠、食事などの生活習慣の見直しをしたりすることも健康を維持するために重要なことです。