常に口内に分泌されている唾液。口内の保護や口内の動きをサポートする潤滑油、食物の消化など、様々な働きがあり、とても重要な物質です。本記事では、そんな唾液の働きの1つ、唾液の緩衝能について紹介していきます。
唾液の緩衝能とは
中学校でpHという数値を勉強します。これは、物質の酸性・アルカリ性の程度を示す数値であり、pH7を中性として0に近づくほど酸性、14に近づくほどアルカリ性となります。
通常、人間の口内は中性に保たれています。しかし、何かを食べると口内は酸性に傾いていきます。pH5.5程度の酸性になると、虫歯菌が活性化し、歯が溶かされ虫歯になってしまいます。そのため、食後は口内を中性に戻す必要があります。
唾液にはリン酸塩や重炭酸塩といった物質が含まれており、これが口内を中性に戻す作用をもっています。食後おおよそ30~40分程度で酸性だった口内を中性に戻してくれるのです。これが「唾液の緩衝能」という機能です。
レモンや梅干しといった酸っぱい食べ物をみると唾液が出る、といった話があります。これはまさしく唾液の緩衝能が働き、これから酸っぱいものを食べる準備として反応的に唾液をより多く分泌するためです。
虫歯のとの関係は?
唾液の緩衝能は虫歯に対抗する重要な機能です。酸性になった口内を中和し、虫歯菌の活動を抑えて虫歯を防ぐのです。唾液が少ないと虫歯になりやすいというのはこれが理由です。
このことを知っていると、虫歯になりにくい習慣というものを考えることができます。食後30~40分以内に間食をしてしまうと、口内が十分に中性に戻らないため、長時間虫歯になりやすい環境を保つ結果となってしまうでしょう。
また、飴やガムなど長時間にわたり口内に残る食べ物は緩衝能が追いつかず、酸性になっている時間が長くなるため、虫歯になりやすい食べ物と言えるでしょう。
唾液の分泌量には個人差があります。これを知るには歯科医に罹る事が重要です。歯科医に尋ね、結果分泌量が少ないことが分かった場合、歯磨きで口内を清潔にする、ノンシュガーのガムなどを使って唾液の分泌を促すなど、様々な対応をとることができるでしょう。
まとめ
あまりにも身近に存在している唾液ですが、その役割は非常に重要なものであるといえます。こういった口内の話題を目にするとつい歯磨きをしたくなってしまいますが、自分の口内というものに興味を持ち、その役割を知ることで、いつまでも健康な環境を維持するきっかけにしたいところです。