危険な昆虫・スズメバチ。その一方で、高度な社会をつくる彼らの生態は多くの人の興味を集めてきました。スズメバチ対策をするときも、敵を知ることは重要ですよ。今回は、スズメバチの一般的な生態と女王バチと働きバチの見分け方を紹介します。
女王だけが越冬し、1匹で巣をつくる
スズメバチの女王は朽木の中で冬を越します。春になると、たった1匹で巣をつくり、卵を産み、狩りをこなし、幼虫を育てていきます。
最初の働きバチが羽化するまで、すべてを1匹でこなすのです。このことは決して簡単なことではなく、多くの女王がそれまでに命を落としていきます。
働きバチはすべてメス
1ヶ月ほどすると、最初の働きバチが羽化してきます。働きバチは、花の蜜や樹液・昆虫といったエサを集め、幼虫の世話をし、巣の掃除や増築をも集団でこなします。
1つの巣の働きバチはなんと数百匹にも達しますが、そのすべてがメスです。働きバチは、卵を産むための管の変化した毒針をもち、巣の防衛にも携わります。
集団で他のハチの巣を襲撃
秋になるとスズメバチの巣はもっとも大きくなります。幼虫の数も多くなるので、食糧の確保が巣の課題になるのです。
このとき、スズメバチは、アシナガバチやミツバチの巣を襲撃し、幼虫を奪って自身の巣の幼虫のエサにすることがあります。
襲撃には危険が伴うものの、エサを大量に確保することができるためです。オオスズメバチが他のスズメバチの巣を襲うことも知られていています。
新女王とオスバチ
秋になると、次世代を担う新女王バチとオスバチが羽化するようになります。新女王バチやオスバチは羽化後1~2週間すると巣を飛び立ち、二度と巣に戻りません。新女王は別の巣のオスと外で交尾し、越冬場所となる朽木にもぐっていきます。
女王バチの見分け方
女王バチは基本的に働きバチよりも大型です。しかし、形がよく似ているので、慣れないとなかなか見分けられません。むしろ、目撃した時期によって働きバチと女王バチを区別する方が簡単です。
女王バチが外に出るのは、働きバチが羽化するまでに限られるためです。同時に、女王バチが出ている間は働きバチはまだ幼虫です。地域にもよりますが、6月より前に見かけたスズメバチは女王の可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?スズメバチは女王を中心とした巣のなかでひとつの社会を営んでいます。スズメバチは集団で生きることで厳しい自然界を生き抜いてきたのです。
その一方で、女王バチは単独で巣を作っていかなければなりません。初夏にスズメバチを見かけたら、1匹で奮闘している女王かもしれないと思うと、感慨深く思えるかもしれませんね。