特に注意しなければならない虫刺されに「ブヨ」によるものがあります。単に痛みやかゆみだけでなく、その後リンパの腫れやアレルギー症状、数ヶ月たっても皮膚の状態が改善しない慢性化した炎症に悩まされることになることもあります。
1年中活動をしているブヨですが、最も活動的になるのは、人が外のレジャーをしたくなる春から夏にかけての時期です。夏の暑い昼間などには比較的静かにしていて、朝や夕方など、適度な暖かさや涼しさがある朝や夕方が活動しやすいようです。
ブヨは全国各地で生息していますが、キャンプをしたときや山登り、森や林の散策の際、刺されるのは、ブヨの幼虫は渓流で生活していることが多いためです。ブヨによる被害を受けたときの症状や治療の方法についてご紹介致します。
ブヨに刺されたときの症状
ブヨは、イエバエの4分の1くらいの大きさで、黒っぽい昆虫です。ブヨは、アブや蚊のようにメスだけが産卵するために吸血します。
しかし、アブや蚊は吸血するために針を持っていますが、ブヨには針がないため、皮膚を噛み切ることにより血を吸います。
刺された直後はチクッとした痛みを感じる人が多く、皮膚を噛み切られるので、その部分から点状出血や水ぶくれが起こり、強いかゆみが出るのは半日から翌日なので、初期治療が遅れることもあります。
刺されたときには気づかないことがあっても、半日くらいすると強いかゆみと同時に手の平くらいの広さにまで、赤く腫れた部分が広がってしまうこともあります。
腫れとかゆみは、1~2週間続きます。体質によっては、「痒疹(ようしん)」という皮膚が硬いしこりになりそのまま数年残ってしまうこともあります。
また、普段からアレルギー反応を起こしやすい体質の人が一度に数ヶ所刺されてしまうと、リンパ管やリンパ節が炎症を起こし、呼吸困難になることもあるので、注意が必要です。
ブヨに刺されたときの治療法
ブヨに刺された直後であれば、出血している傷口から、毒素を吸いだしたほうが、重症化する可能性が低くなります。
しかし、少し時間がたってしまい、いつ刺されたのかわからないほど時間が経過している場合には、毒素はからだに浸透してしまっているので、その部分だけ吸出しても効果はありません。
吸い出すときも注意が必要で、口で吸出すことは危険なので、やめましょう。口の中の小さな傷や歯周病などがある状態では、口から毒素が浸透し、からだに入り込んでしまいます。
理想的な処置は、キャンプなどの外のレジャーに行く際は、「ポイズンリムーバー」という毒抜き専用の吸出し器具を持参していき、ブヨに刺された直後に器具での毒の吸出しを行い、虫刺され用の抗ヒスタミン薬の塗り薬を付ける応急処置を行うとその後の重症化を防ぐことができます。
その後は、皮膚科を受診したほうが良いのですが、山の中などで当日は無理の場合でも、帰宅後の翌日にでも、医療機関を受診し、症状に合わせた塗り薬と飲み薬を処方してもらいましょう。
皮膚科での治療薬
ブヨに刺されると固く盛り上がり、かゆみを伴う強い炎症が起こります。掻き壊してしまったりして、この固い部分をきちんと医療機関で治療をしないでいると、数年に渡って痒疹という塊が治らない状態になる可能性もあります。
ブヨに刺されてすぐには、皮膚科では、初期の強いかゆみと炎症作用を抑えるために、ステロイドの塗り薬を処方されます。「プロトピック軟膏」というステロイドとは異なった塗り薬も処方されることがあります。
この薬は、長期に使用してもステロイドのような強い副作用もなく、炎症性のかゆみに効果があります。
症状が強い場合は、ステロイドの内服薬も短期間のみ処方されることもあります。また、かゆみ止めの効果がある抗ヒスタミン剤の内服薬の処方も行われます。
まとめ
ブヨに刺された場合、まず毒を抜くことを考えてください。また、もし症状が酷い場合には医療機関を受診するようにしましょう。