肝臓は体のなかでも重要な機能を担う臓器のひとつです。肝臓に障害が起こると疲れやすくなったり、食欲不振、風邪をひきやすいなど体の免疫力も低下します。
このような症状は進行すると体に重大な病気を引き起こしたり、日常生活でも問題になりやすい症状です。今回は、「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」の効果や副作用について解説します。
効果
小柴胡湯は、7つの生薬成分を配合した肝機能を改善する漢方薬で、主に慢性肝炎における肝機能障害の改善に用いられます。また肺炎、気管支炎、気管支喘息、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、食欲不振、吐き気などにも効果を発揮する漢方薬です。
生薬の柴胡(サイコ)は抗炎症作用があり炎症を鎮める作用があります。黄芩((オウゴン)は解毒作用や肝機能を高める作用があり、全身状態を改善してくれる働きがあります。
半夏(ハンゲ)には体を温める作用があり、食欲不振や胃腸炎、気管支炎などに効果があります。人参(ニンジン)は新陳代謝を促し、胃を健康に保ちながら衰弱した胃を改善する働きがあり、慢性胃腸炎や消化不良に効果的です。
甘草(カンゾウ)は痛みを和らげる作用や鎮痛・鎮痙・解毒作用で胃痛などの症状を緩和してくれます。生姜(ショウキョウ)は新陳代謝を活発にして食欲を増進させ、痛みを取り除く作用があります。大棗(タイソウ)体の緊張を取り除き体を温め、胃腸疾患や腹部膨満感などに効果が得られます。
このように漢方薬では生薬が体の各所で一緒に働くことで効果を得ることができます。また、漢方薬は体質によって異なりますが、小柴胡湯は体力が中等度で腹部膨満感や胸が苦しいなど症状がある方に最適な処方となっています。1日の分量を2回〜3回に分けて食前又は食間(食後2時間〜3時間後)に内服します。
副作用
生薬を配合した漢方薬では副作用が起きることは少ないですが、小柴胡湯では併用薬がある場合は注意が必要です。
主な副作用は、皮膚の発疹や発赤、痒み、消化器系では、胃の不快感や食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢の他、頻尿や排尿痛、血尿、残尿感などの膀胱様症状が見られることがあります。
慢性肝炎の治療でインターフェロン療法を行っている方は小柴胡湯を内服することにより間質性肺炎を起こす可能性があるため注意が必要です。また、甘草を重複すると偽アルドステロン症を引き起こすことがあります。
血圧上昇や浮腫み、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のふるえ、力が入らないなど症状が見られたら内服を中止して医師の診察を受けるようにして下さい。
その他、肝機能障害など発熱、全身倦怠感、浮腫み、発疹、痒み、黄疸など症状にも注意して下さい。著しく体力が衰えている人や肝硬変に移行している人は症状が悪化する恐れがあるため慎重に内服するようにします。
まとめ
小柴胡湯は肝機能を改善するために用いられる漢方薬です。通常、生薬由来の漢方薬は副作用は少ないですが、稀に重篤な副作用を起こすことがあるので、状態を観察しながら内服します。漢方薬ならゆっくりと改善するのが実感できるでしょう。