痛風は、30~50代の男性に発症することが多く、食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加の影響もあり増加してきています。痛風の指標ともされる尿酸値ですが、どのくらいであればいいのでしょうか?ここでは、痛風の尿酸値の基準について見ていきます。
痛風とは
人間の体を構成する細胞にはすべて遺伝子が入っていて、この遺伝子をつくる核酸の中に含まれているプリン体の分解産物が尿酸になります。
尿酸の8割は尿中に解けた形で排泄されていきますが、排泄が上手くいかなかったり、体の中で尿酸がつくられすぎると血中に尿酸が増えてしまいます。
この血液中に尿酸が増えている状態は、高尿酸血症と呼ばれ、痛風や腎障害、尿路結石などの原因にもなります。そして、高尿酸血症の状態が長期化してくると、尿酸は尿酸塩という結晶の形になり、関節に析出し、痛烈な痛みを急性関節炎発作を引き起こしますが、これが痛風です。
痛風発作を起こすと手足の関節が腫れて、熱感を伴った激しい痛みが押し、24時間でピークとなり、1~2週間で自然に痛みはなくなっていきます。
足の親指の関節に好発します。以前から高尿酸血症が指摘されている人で、足の親指などに発赤や腫脹を伴った急性関節炎が起こった場合は、痛風と言えるでしょう。
尿酸の基準値は?
尿酸値は、成人男性は血液1dl中4.0~6.5mg/dl、成人女性は3.0~5.0mg/dlが正常値とされています。
日本痛風・核酸代謝学会ガイドラインによると、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると、検査値が高くなるにしたがい痛風の発症リスクが高まってくることから、痛風の原因となる高尿酸血症は「血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるもので、性別や年齢は問わない」と定義されています。
この7.0mg/dlという高尿酸血症の基準となる値は、尿酸が血液に溶けきれる限界の数値とされています。だからといって、7.0mg/dlを超えたから、すぐに痛風発作が起こるというものでもありません。
高尿酸血症の状態で、徐々に尿酸結晶が形成されていき、やがて発作を引き起こします。尿酸値が8.0mg/dLとかあっても、痛風発作を起こしたことがないし今のところ全然平気という人がいるのも、こうしたためです。しかし、高尿酸血症の期間が長く高度であればあるほど、痛風発作を起こしやすくなります。
尿酸値として注意しなければいけない点として、痛風発作が起きているときに血清尿酸血を測定しても、低い値となることがあるので、痛風発作を起こしているときに血液検査をして血清尿酸値を測定するのはあまり意味がありません。
尿酸値が低いのに痛風を発症するのか?
痛風で発作が起こると、病院やクリニックで血液検査をして尿酸値を調べ、高かったら痛風というイメージがありますが、痛風発作時では尿酸値が低くでる場合があります。
痛風は、高尿酸血症の状態が続いて、尿酸結晶が関節に析出して起こるものです。したがって背景には高尿酸血症があります。
痛風は体が尿酸蓄積状態であるかどうかが重要で、尿酸発作等を起こしていて一時的に尿酸値が低くなっている場合でも、長い間、高尿酸血症で尿酸蓄積状態であれば起こりえます。
まとめ
痛風は、高尿酸血症の状態が続くことで、体に尿酸が蓄積していくことで起こってきます。そのため、普段から健康診断などで尿酸値を注意しておく必要があります。
尿酸値が高いからといってすぐ痛風発作が起こるわけでもありませんし、逆に尿酸値が低くでていても、今まで高尿酸血症の状態が続いていて尿酸がプールされていれば、痛風発作が起こることがあります。