
風邪や花粉症などのアレルギー性鼻炎が原因となって慢性副鼻炎(蓄膿症)に罹ってしまうことがあります。
蓄膿症や慢性鼻炎などで鼻づまりが酷い時に点鼻薬や他の内服薬で症状を抑えることができますが、薬によっては効果を得られない種類もあります。
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)は漢方の力で蓄膿症の辛い鼻水に働きかける薬です。今回は、辛夷清肺湯の効果や副作用について解説します。
効果

辛夷清肺湯は、蓄膿症や慢性鼻炎の粘度の高い鼻水や鼻づまりなどの症状に効果を発揮する漢方薬です。抗炎症作用や排膿作用、鼻づまりの改善作用に優れ炎症を鎮めて鼻づまりの症状を和らげてくれます。
辛夷清肺湯の抗炎症作用は細菌やウィルスが原因となって起こる副鼻腔の炎症を抑えてくれます。排膿作用では鼻の粘膜にある線毛に作用して膿を排泄しやすいように働きかけます。
生薬に含まれる辛夷(シンイ)の成分が鼻の通りを良くして鼻づまりに効果を発揮してくれるでしょう。また、9つの天然由来の生薬が配合された漢方薬はそれぞれの働きで鼻づまりの症状を和らげてくれます。
- 辛夷(シンイ)
- 知母(チモ)
- 枇杷葉(ビワヨウ)
- 升麻(ショウマ)
- 百合(ビャクゴウ)
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 石膏(セッコウ)
- 黄芩(オウゴン)
- 山梔子(サンシシ)
辛夷は鼻づまりの症状を緩和してくれ、知母や百合には解熱・鎮痛作用があります。枇杷葉や升麻、石膏や黄芩には炎症による腫れや発赤を鎮める解熱・消炎・鎮痛効果があります。
そのほか麦門冬には抗炎症・抗鎮痛作用の他、抗菌作用も期待できます。この様に辛夷清肺湯は消炎・鎮静に効果の高い生薬配合で炎症や熱を取ってくれる働きがあります。
漢方薬が効果を発揮しやすいように内服は食事を摂取した2時間〜3時間後の食間や食前に服用するのが効果的です。
副作用
漢方薬は自然由来の生薬が配合されているため、安全性が高いと考えがちですが、漢方薬が体質に合わない場合は、副作用などの症状を起こすことがあります。
辛夷清肺湯は体力が中等度で熱感のある人を対象に配合されている為、胃腸虚弱や体力のない人が内服すると症状が悪化したり、副作用を起こすことがあります。
主な副作用として、食欲不振、胃部不快感、発赤・発疹、痒み、蕁麻疹などが見られることがあります。この様な症状が現れた時は内服を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。
また、発熱やから咳、突然の息切れや呼吸困難など間質性肺炎や全身倦怠感、黄疸などの肝機能障害、腹痛や下痢、便秘、腹部膨満感など腸間膜静脈硬化症など症状がある時は直ちに医師の診察を受けるようにして下さい。
辛夷清肺湯は粘度の高い鼻水に有効な生薬配合の為、花粉症や急性の風邪などの水溶性の鼻水には効果がみられないことがあります。
まとめ
アレルギーでも様々な種類がありますが、辛夷清肺湯は鼻づまりや粘度の高い鼻水が出る蓄膿症や慢性鼻炎に効果のある漢方薬です。
副作用は少ない漢方薬ですが、内服する前には必ず医師や薬剤師に相談してから内服しましょう。漢方薬の効き目は緩やかですが、長期間飲み続けることで症状が改善するでしょう。