血圧が高くなったり、前立腺が肥大するなど年齢が高くなると身体にさまざま影響が出てきます。
血圧を下げる薬や前立腺肥大の排尿困難に用いる薬剤は多種類にわたり開発されていますが、エブランチルのように両方に働きかける薬剤もあります。
今回は血圧を下げる作用と排尿障害の治療に用いられるエブランチルの効果や副作用について解説します。
効果
エブランチルはウラピジルを有効成分とする排尿障害改善剤・降圧剤の治療に用いられる薬剤です。
主に本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症に用いられるほか、前立腺肥大症に伴う排尿障害や神経因性膀胱に伴う排尿困難にも効果のある薬剤です。
エブランチルはα₋遮断剤で血管の交感神経受容体に働きかけ、末梢血管を拡げて末梢の血管抵抗を減少させることで血圧を下げてくれます。
排尿障害では、尿道に存在する平滑筋のα受容体に作用して、α受容体を遮断することで排尿困難を緩和します。
エブランチルは、高血圧と診断された時に最初に処方される薬剤ではありませんが、糖尿病や脂質代謝異常のある方や喘息、レイノー症状と診断された方に適した処方となっています。
内服用量・用量は病気によってよって異なります。
本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症に用いる場合は、1日30mg(1回15mg1日2回)より内服を開始し、効果が十分に得られない場合は1~2週間の間隔をおいて1日120mgまで漸増し、1日2回に分けて朝夕食後に内服します。
前立腺肥大症に伴う排尿障害に用いる場合は、1日30mg(1回15mg1日2回)より内服を開始し、効果が十分に得られない場合は1~2週間の間隔をおいて1日60~90mgまで漸増し、1日2回に分けて朝夕食後に内服します。
症状により適宜増減しますが、1日の最高投与量は90mgまでとなっています。
神経因性膀胱に伴う排尿困難では、1日30mg(1回15mg1日2回)より内服を開始し、1~2週間の間隔をおいて1日60mgに漸増し、1日2回に分けて朝夕食後に内服します。
症状により適宜増減し、1日の最高投与量は90mgまでです。病状により内服量や1日の最大内服量が異なるため医師の指示に従い内服するようにして下さい。
副作用
血圧を下げる薬剤ではめまいや立ちくらみなど症状が現れることがあります。
主な副作用は頭痛・頭重、めまい、嘔気・嘔吐、立ちくらみなどの症状が見られることがあります。
その他、、動悸、ほてり、のぼせ、胸部不快感、低血圧、頻脈などの循環器症状、口渇、胃部不快感、下痢、腹痛、腹部膨満感、便秘、食欲不振といった消化器系症状も見られることがあります。
また、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、Al-Pなど肝機能値の上昇、好中球減少、血小板減少など血液値の異常なども副作用として現れることがあります。
このような症状が現れたら内服を中止して適切な処置を受けるようにしましょう。
重篤な副作用が起こることはめったにありませんが、肝硬変など肝機能障害のある方が内服すると症状が悪化するなど副作用に繋がる恐れがあります。
内服初期に薬剤の用量を増やした場合に意識喪失、立ちくらみ、めまい、悪心、心悸亢進、胸部不快感どが現れることがあるので注意して下さい。
また起立性低血圧に伴う立ちくらみ、めまいなど現れることがあるので、車の運転や高所で作業を行う場合は、注意するようにします。
他の利尿剤や降圧剤、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤を併用している場合は、低血圧症状や血圧が下がり過ぎるなど副作用を起こしやすいので医師の指示に従い内服して下さい。
まとめ
エブランチルは血圧を下げる作用や排尿障害を改善してくれる薬剤です。加齢に伴いさまざまな症状が現れますが、血圧などは食事療法や適度な運動を行うなどで改善することがあります。
血圧の薬などを内服している期間は自宅でも血圧を測定して血圧がコントロールされていることを確認するようにしましょう。