夏が終わり、肌寒くなってくるとささやかれはじめるのが、インフルエンザの流行です。インフルエンザは、型にもよりますが、主に11月から5月頃にかけてはやります。
高熱や体の痛みなど辛い症状をともないますので、一刻も早く治したいものです。そこで、今回は、ご家庭などにあるお薬・カロナールはインフルエンザにも効くのかについてお話します。
解熱剤として効果あり?
インフルエンザはそもそも風邪とは異なり、インフルエンザウイルスへの感染によってかかります。多くの場合は、1~3日ほどの潜伏期間を経て発症し、7日~10日ほどで症状が治まるといわれています。
治療には、インフルエンザウイルスを殺すために、抗インフルエンザ薬が処方されます。症状としては、37度以上の発熱、関節の痛み、全身倦怠感、頭痛などが挙げられます。通常の風邪と違うのは、風邪がのどの痛みや咳、発熱、頭痛などおもに上半身に症状がみられるのに対し、インフルエンザの場合は、全身に症状が現れる点です。
インフルエンザが発症し症状が現れると、そのスピードは早く、一気に高い熱や頭痛、けだるさが襲います。そこで少しでも早く症状を抑えたいと、お手元にあるお薬の服用を考えるかもしれません。
とくに、鎮痛剤はどこのご家庭にでもたいてい置いてあります。「カロナール」もそのひとつです。カロナールは、アセトアミノフェンを主成分とした、解熱・鎮痛剤で、風邪の際の発熱や頭痛、筋肉痛などに用いられます。
このカロナールですが、インフルエンザ時に服用できるのでしょうか?答えはイエスです。しかし、留意していただきたい点が3点あります。
まず、1つにカロナールを服用しても、インフルエンザウイルス自体は死滅しないということです。インフルエンザはそもそも、インフルエンザウイルスの感染によるもので、かかった際に登校や出社ができないのも、このウイルスをまき散らさないためです。
そして、2つめに解熱と痛みを抑える効果はありますが、体が熱と戦えそうなときは無理に飲む必要はないという点です。インフルエンザの時に出る高熱は、熱でウイルスと戦っているということです。
したがって、熱で体力消耗が激しい、水さえ飲めないなど、耐えられない場合は飲んでも問題ありませんが、安静にしていれば大丈夫そうなら、何が何でも飲む必要はありません。
最後に3つ目ですが、飲み合わせと量に注意です。このことについては次の項で詳しくご説明します。
飲むときに注意することは?
カロナールは効き目が穏やかですので、インフルエンザの時に飲んでも、とくに副作用は報告されていません。しかし、他の風邪薬や鎮痛剤との飲み合わせには注意が必要です。
とくに、乳幼児や子供、ご高齢の方はインフルエンザ時にアスピリンを含むバファリンなどの鎮痛剤を服用することで、インフルエンザ脳症やライ症候群などの副作用が報告されています。
また、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)を主成分とする鎮痛剤でも、子供の死亡率が高まったと言われています。したがって、これらの鎮痛剤・解熱剤はなるべくインフルエンザ時には避け、どうしても辛い時は、効き目が穏やかなカロナールを選ぶようにしましょう。
カロナールは医師で処方される抗インフルエンザ薬である、タミフルやイナビル、リレンザなどと一緒に摂取しても副作用はないとされています。
しかし、なかなか効かないからと素人判断で量を増やしたりすることは厳禁です。肝臓に負担をかけてしまうばかりか、低体温を引き起こし、ウイルスと戦えなくなってしまいます。
また、比較的副作用もなく効き目も穏やかなカロナールですが、妊娠中や低出生体重児、新生児及び3か月未満の乳児に対しては、安全性が確立されていませんので、服用する前に医師の判断を仰ぎましょう。
まとめ
鎮痛・解熱剤であるカロナールは、インフルエンザの辛い熱を下げることにお役立ていただけます。しかし、熱を下げる=インフルエンザが治るではないことを覚えておいてください。そして、乳児や妊娠中の方、ご高齢の方は一人で判断せずお医者さんに相談してお薬を処方してもらうことが先決です。