時々襲ってくるけど、しばらくすると痛みが治まる腹痛に悩んでいる。そんな原因がよくわからない腹痛が続いている場合、それは慢性虫垂炎かもしれません。今回は、そんな慢性虫垂炎の原因・症状・治療法についてまとめます。
慢性虫垂炎とは
虫垂炎は、盲腸の先に突起している虫垂が炎症を起こす病気です。虫垂炎には、急性虫垂炎と慢性虫垂炎があります。
急性虫垂炎は、突然、激しい腹痛を起こしますが、慢性虫垂炎は、腹痛が起きたり、治まったり、症状がはっきりせず、その他の腸炎と区別しづらく、見逃されることもあります。
虫垂炎の場合、血液検査で白血球の増加や炎症反応の程度を示すCRP値の上昇が見られますが、慢性虫垂炎の場合は、症状が治まっているときは、検査値の異常が見られない場合があります。これも診断がつきにくい原因ですね。
また、急性虫垂炎を薬でちらした後、再発して慢性虫垂炎になったというケースや、慢性虫垂炎で、虫垂切除手術を受けたら、痛みの症状がないのに虫垂が腫れていて、中に膿が溜まっていたというケースもあるようです。
原因
慢性虫垂炎の原因は、未だ明確にはなっていませんが、一説には、細菌の感染によって引き起こされるといわれています。
また、患者は男性であることが多く、都会で暮らしている人、肉食を好む人に多く、春と夏に患者が増える傾向にあるといわれています。
症状
慢性虫垂炎の症状は、急性虫垂炎の場合と同様に、みぞおち付近の痛みから始まり、徐々に虫垂のある下腹部に痛みが移動してくることが多いようです。そして、吐き気や嘔吐が起きます。その他、微熱を伴う場合もあります。
しかし、しばらく痛みがあっても、その後、痛みが治まったり、時々しか痛くなかったり、軽い痛みのみであったりと症状がわかりにくい場合もあり、その他の腸炎と区別がつきにくく、診断が難しくなります。
治療法
慢性虫垂炎の治療法には、薬物療法と手術療法があります。
薬物療法
薬物療法は、抗生物質を投与して炎症を抑える内科的治療になります。しかし、再発してしまう確率が高いようです。結局、手術で虫垂を切除することになる可能性があります。
手術療法
虫垂炎の手術法には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。最近は、傷口が小さく、回復が早いため、身体への負担が少ない腹腔鏡下手術が行われることが多くなっています。入院期間は、3~5日間くらいになります。
腹腔鏡下手術は、腹部に3~4箇所小さい穴を開けて、そこから内視鏡や手術器具を挿入して、内視鏡からの画像をモニターで確認しながら、虫垂を切除します。
急性虫垂炎は、激しい腹痛が起き、腹膜炎への移行も早いため状態によっては、緊急手術になることが多いですが、慢性虫垂炎の場合は、術前検査をして、虫垂の状態を事前に把握した上で手術をすることができる場合が多いです。
まとめ
慢性虫垂炎は、軽い腹痛が起きたり、治まったりを繰り返し、診断がつきにくい病気です。しかし、放置しておくと腹膜炎などを合併する危険もあります。原因不明で繰り返す腹痛が続く場合は、早期に医師の診察を受けましょう。