
中耳炎は、ウイルスや細菌が「中耳(鼓膜の奥の空間)」に浸入することが原因で引き起こされます。細菌が原因ならば、抗生物質が効果があると考えられますが、実際はどうなのでしょうか?今回は、中耳炎の抗生物質による治療について見てみましょう。
抗生物質は効果があるの?
中耳炎の原因が細菌の場合、主に肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどが原因となります。これは、風邪を引き起こす菌と同じです。
理論的には、中耳へ移行し、これらの細菌への殺菌効果のある抗生物質であれば、中耳炎の治療効果はあると考えられますが、近年、これら細菌の中には、抗生物質に対して強くなったもの・耐性を示すものが増えていて、なかなか抗生物質が効かない場合が多くなっています。
また、抗生物質を使わなくてもほとんどの中耳炎は、自然治癒するとの報告もあり、最近は、軽症の場合は、抗生物質の使用を控え、経過を見る場合が多いです。
ですので、発症から3日間は抗生物質を使用せずに、経過観察し、改善が見られない場合や悪化する場合は抗生物質の使用が考慮されます。
どのような種類があるの?
使用される抗生物質については、「小児急性中耳炎診療ガイドライン」に推奨される抗生物質がまとめられています。
内服薬
- ペニシリン系のアモキシシリン(サワシリン、ワイドシリンなど)
- ペニシリン系のクラブラン酸・アモキシシリン(クラバモックスなど)
- セフェム系のセフジトレンピボジル(メイアクトMSなど)
注射薬
- ペニシリン系のアンピシリン(ビクシリンなど)
- セフェム系のセフトリアキソン(ロセフィンなど)
薬はどう選ぶの?
第一選択薬は、アモキシシリンですが、すでにアモキシシリンに耐性のある菌がありますので、アモキシシリンで改善が見られない場合は、耐性菌が作り出すβラクタマーゼという酵素の働きを妨げる物質を含んだクラブラン酸・アモキシシリンやセフェム系セフジトレンピボジルを使用します。
この他、カルバペネム系のテビペネム(オラペネム)、抗生物質ではありませんが、ニューキノロン系抗菌剤のトスフロキサシン(オゼックス)がありますが、これらは、先の抗生物質が効果がない場合の最終手段として位置付けられています。この2剤に対しても耐性菌ができてしまうと次がありませんので、容易な使用は避けたい薬ですね。
飲む期間はどれくらい?
抗生物質は、5日間の服用で、服用3~4日後に病状をチェックすることが推奨されています。抗生物質を漫然と使い続けることは、耐性菌を作りやすくなりますので注意が必要です。
まとめ
細菌が原因の中耳炎の場合は、抗生物質の効果が期待できますが、近年、抗生物質に強い耐性菌が増えていて、なかなか抗生物質が効かないケースも多くなっています。
使用される抗生物質は、ペニシリン系のアモキシシリン、クラブラン酸・アモキシシリン、セフェム系のセフジトレンピボジル、注射薬では、アンピシリン、セフトリアキソンが推奨されています。服用期間は、5日間で服用3~4日後の病状のチェックが推奨されています。
耐性菌が増え、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者が耐性菌に感染した場合、抗生物質が効かず、重症化してしまう恐れがあります。抗生物質は、漫然と使うことなく、用法用量を守って使用することが大切です。