
上顎洞は鼻腔を取り囲む空気の空洞である副鼻腔の中の一つで、頬の部分の空洞に相当します。上顎洞癌は同部位に発生する癌をさし、副鼻腔癌の大部分が上顎洞に発生します。この記事では、上顎洞癌の原因や症状、治療について紹介していきたいと思います。
原因は?
上顎洞癌の原因については、複数の説があり、慢性副鼻腔炎や乳頭腫という良性腫瘍の原因となるパピローマウイルスの長期間の感染により悪性細胞が発生する説や、職業上クロムやニッケルなどの金属、木片、皮製品などを扱い、粉塵を吸い込む可能性のある方は、その化学的、物理的刺激を慢性的に受けることにより悪性細胞が発生する説があります。
症状は?
腫瘍が上顎洞に限局している時期は、無症状であることが多く、あっても慢性副鼻腔炎と違いが判らない事がほとんどです。ゆえに上顎洞癌は早期発見が比較的難しい癌と言えます。
腫瘍が上顎洞の骨壁を壊すほど大きくなると、鼻づまり、嗅覚障害、鼻出血、臭いのある鼻汁などの鼻症状、前方・下方への進展で頬の腫れ、軟口蓋の腫れ、三叉神経の圧迫症状で顔面痛、歯痛、上方向の進展で眼球突出、複視、眼球運動障害、涙が止まらない症状、後方への進展で咀嚼筋や顎関節に影響がでて、開口障害、咀嚼困難など多様で特徴的な症状が出てきます。
治療法や薬は?
一般的に癌の手術は、十分な周囲の正常組織をつけて、癌細胞が存在する部位を完全に取りきる事が原則です。
しかし、上顎洞領域は解剖的に複雑で、周囲に脳を栄養する血管である内径動脈や顔面の機能に関わる筋肉・神経が多く存在し、手術が困難であえい、手術できたとしても安全領域として眼や唇の切除を要するケースも多くあり、術後の外見や機能の面での欠損が著しくなってしまいます。
そのため、治療はまず、放射線療法や抗癌剤の治療で可能な限り癌を小さくし、切除領域が少なくすむようにしてから手術をするという、複数の治療を組み合わせる「集学的治療」が行われることが多いです。
手術の切除範囲は癌がどの程度進んでいるかにより、上顎洞の中におさまっていれば、洞内だけの切除で済みますが、進展範囲が多いと、上顎洞の鼻腔と接している内側壁と鼻のひだである下甲介を合併切除する上顎洞部分切除術や、上顎洞と必要に応じて眼球や頬の皮膚、唇の一部までも切除する上顎洞全摘術が行われます。
まとめ
上顎洞癌の原因、症状、治療についてまとめました。上顎洞癌は感染症や良性腫瘍と原因や初期症状が類似している事が多く、早期発見が難しい癌の一つです。この記事を読んでしかしてと思われる方は早めの耳鼻咽喉科受診をおすすめします。