
大人の糖尿病の多くがインスリンが効きにくくなった2型糖尿病であるのに対し、小児糖尿病の多くは1型糖尿病と言われているものです。
では、大人に多く見られる糖尿病と、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは、そんな小児糖尿病の原因や症状、治療法、治療薬についてまとめていきます。
小児糖尿病の原因
大人になり、生活習慣などによって起こってくる糖尿病の多くは、インスリンの分泌障害が比較的軽度ですが、インスリンが効きにくくなっている2型糖尿病がほとんどです。
これに対し小児糖尿病は1型糖尿病で、自己免疫などの要因により、「インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる)」ではなく、高度のインスリン分泌障害が見られます。
小児糖尿病に多い1型糖尿病は、遺伝因子に問題があり、血糖を下げるインスリンを分泌する膵臓のβ細胞に対する自己免疫が働きやすくなっています。
つまりこれだけで、糖尿病になるわけではありませんが、何らかの引き金があると自己免疫が働きやすくなっている状態になってしまいます。
そこに環境因子としてウイルス感染などを起こすと、自己免疫系が働きだし、このとき膵臓のβ細胞が自己免疫系に対して反応しやすくなっていて、血糖を下げるインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されはじめてしまいます。
すると本来インスリンを分泌すべく細胞が破壊されてその数が減ってきてしまうので、インスリンを分泌する能力が著しく低下してしまいます。そしてインスリンがほとんど分泌されない状態となってしまいます。
膵臓のβ細胞は、その8~9割が破壊されてしまうと、高血糖の状態となり、小児糖尿病になってしまいます。つまりインスリンが分泌できない体になってしまいます。
小児糖尿病の症状
小児糖尿病の症状は、インスリンの分泌ができないために高血糖状態となり、高血糖による脱水症状が原因の口渇や多飲、そして、水を多く飲むことによる多尿といった症状になって現れてきます。
またインスリンが分泌できないということは、血液中の糖を上手く取り込んで栄養として利用できないので、体重の減少が起こってきます。
これに対し、大人の多くに見られる2型糖尿病は、初期症状はほとんど無症状になっています。進行すれば、小児糖尿病と同様に、口渇・多飲・多尿・体重の減少といった症状が現れてきます。
人間は飢餓状態の時は、エネルギーとして体に蓄えられている脂肪を分解して利用するようになっていますが、小児糖尿病ではインスリンの分泌がないため、高血糖状態ではあるものの、その糖が上手く利用できない状態です。
なので、脳が飢餓状態と勘違いして脂肪が分解され、その結果、遊離脂肪酸ができ、さらには体に有害なケトン体という物質が体に蓄積してしまいます。するとこれが引き金となって、昏睡症状を起こすことがあります。
小児糖尿病の治療法(薬)
小児糖尿病のほとんどが1型糖尿病であるので、インスリンが分泌できない状態になっています。したがって、治療はインスリン療法と食事療法や運動療法などの生活習慣改善を併用して行っていくことになります。
まずは十分な水分補給をするとともに、インスリン注射を行います。このとき注意するのが、血糖とともに、過剰にできた有害なケトン体が尿中にでてきていないかを確認します。
インスリン療法では、一般的には寝る前にゆっくり効く持効型溶解インスリン製剤を皮下注射し、さらに朝食、昼食、夕食の前に速く効くタイプの超速効型インスリンを注射します。
つまり1日4回、インスリンを打つことになります。最近では、「CSII(持続皮下インスリン注入療法)」といって、小型のポンプを使ってインスリンを持続的に注射していく方法もあります。
まとめ
小児糖尿病は、血糖を下げるインスリンの分泌する能力がない1型糖尿病であることが多く、これには自己免疫が大きく関わっていて、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまうことによって起こってきます。インスリンの分泌自体がうまくできなくなっているので、治療は、インスリン注射が基本になっていきます。