
近年よく耳にするようになった自律神経失調症。
とくに内臓や器官などに問題が見つかるわけではなく、原因も症状個々人によってさまざまです。治療には患者さんに合った治療が望ましいですが、なかでも漢方は用いられることの多い治療法の1つです。
そこで今回は、自律神経失調症の改善におすすめの漢方をご紹介したいと思います。
自律神経失調症と漢方との関係
冒頭にも述べましたが、自律神経失調症は器質的な問題が発見されにくいため、治療は主訴にあった対症療法となります。自律神経失調症とは、人が心身ともに健全な生活を送るうえで欠かせない、活動と休息をつかさどる、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで生じます。
交感神経は活動的に動いたり、興奮したりする際に高まり、休んだり疲労回復を行ってリラックスするときには副交感神経が優位になります。しかし、ストレスや睡眠不足、栄養状態の悪化、生活リズムの不規則などが原因となり、このバランスが崩れることで、不眠や頭痛、精神不安などの状態に陥り、自律神経失調症を招きます。
その症状は多岐にわたり、頭痛やめまい、不安感、イライラ、気分の波、動悸、ふるえ、肩こりなどが挙げられます。もちろんこうした個々の症状を回復するために、目的別の治療薬を用いることも効果があるのですが、個人個人の体質や性格に合ったお薬を選べる漢方は、より症状の回復が期待できそうです。
漢方にはそもそも「気」、「血」、「水」という考えがあります。気は生命エネルギーを指し、自律神経のような役割だといえます。そして血は、血液で全身に栄養をいきわたらせる役割です。そして水は血液以外の代謝や免疫にかかわる体液を指します。
また、漢方では心と体の状態を「証」というタイプで分類しています。「虚証」タイプは、体力が少なく疲れやすい、声が小さい、精神面に不安を抱えやすいなどの特徴があります。そしてもう一つが「実証」です。こちらは体力があり、声も大きく、のぼせやすいタイプです。
漢方はこれら気、血、水いずれに関係する症状なのかを見極め、患者さんが虚証、実証どちらのタイプなのかに応じてお薬が処方されるのです。
自律神経失調症におすすめの漢方一覧
では、おもな症状とともにおすすめの漢方を以下に挙げます。
不安感やうつ気味の場合
1.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
動悸・精神不安・不眠・イライラするなどの症状を改善します。
2.半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
不安感や不眠症、神経症、動機、のどの違和感を改善します。
3.女神散(にょしんさん)
冷えやのぼせ、精神不安、更年期障害や月経不順を改善します。
4.桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
神経の高ぶりを鎮めて気の力を付け、心を安定した状態にします。不安感が強く、動悸、虚弱の人に効果があります。
のぼせやイライラを感じる方
1.加味逍遥散(かみしょうようさん)
イライラや不眠症、頭痛、肩こり、更年期障害を改善します。
2.抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
神経の高ぶりによる不眠症、イライラ、頭痛、更年期症状を改善します。
3.四逆散(しぎゃくさん)
不眠症や、肩こり、腹痛、精神不安や胃や腸の痛み、イライラを改善します。
4.釣藤散(ちょうとうさん)
イライラや頭痛、めまい、耳鳴り、不眠などの症状を改善します。
食欲不振・やる気がわかない方
1.補中益気湯(ほちゅえきとう)
無気力や食欲不振を改善します。
2.半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
全身の倦怠感、食欲不振、手足の冷えを改善します。
まとめ
自律神経失調症は症状も原因も患者さんそれぞれです。漢方は細かくタイプに分けて処方してもらえるのでおすすめです。西洋薬と違って生薬がもととなってできていますので副作用の心配が少ないのもメリットといえます。
自律神経失調症でお悩みの方は、一度病院で漢方での治療を希望してみるのも一手かもしれません。