錠剤に「トミロン100」って印字の入っているお薬、ご存知ですか?セフェム系の抗生物質なんですよ。錠剤が分かりやすくていいですね。今回は、このトミロン錠100mgの効果と副作用についてまとめていきます。
トミロン錠100mgの特徴
「トミロン錠100mg(セフテラム ピボキシル)」は、腸管から吸収されて、腸管壁で代謝され、抗菌作用を示すセフテラムになります。
トミロンは、体内で効果を示す最低濃度以上の時間が長いほど効果がよい抗生物質です。飲み忘れたり、服用間隔が偏ったりすると、効果が弱くなってしまいます。
かといって1回に2回分服用しても効果は頭打ちで、副作用が出やすくなるだけで、効果的ではありません。医師・薬剤師の指示通り服用し、しっかり治しましょう。
効果について
「トミロン(セフテラム)」は、レンサ球菌属・肺炎球菌などのグラム陽性菌、淋菌・大腸菌・クレブシエラ属・インフルエンザ菌などのグラム陰性菌に対して効果があります。
広い範囲の細菌に効果があります。ただし、緑膿菌には効果はありません。(インフルエンザ菌は、インフルエンザウイルスとは別の種類です。)
トミロンは、細菌の細胞壁が作られるのを阻害して、殺菌します。細胞壁とは、その名のとおり、細胞を取り囲む壁で、細菌細胞は、この細胞壁があることで、形を保っています。
そのため、細胞壁が作られなくなると形を保てず、壊れてしまいます。細胞壁は、人間の細胞にはありませんので、トミロンは細菌にのみ作用します。
適応症一覧
- 咽頭・喉頭炎
- 扁桃炎(扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍も含みます)
- 急性気管支炎、肺炎
- 慢性呼吸器病変の二次感染
- 膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
- バルトリン腺炎
- 子宮内感染、子宮付属器炎
- 中耳炎、副鼻腔炎
- 歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
副作用について
副作用の内訳で多いのは、下痢の症状です。抗生物質による下痢は、腸内細菌も一緒に殺菌してしまうため、バランスが崩れて下痢を引き起こすといわれています。
ひどい下痢や、血便を伴う場合は、病院を受診しましょう。その他、発疹、食欲不振、胃部不快感、肝機能検査値の上昇などがあります。
さらに、めったにない副作用ですが、以下のような重篤な症状が起きることがあります。
- ショック・アナフィラキシー様症状(口内の違和感、息苦しい、蕁麻疹、発汗などが初期症状)
- スティーブン・ジョンソン症候群(皮膚が赤くなる、高熱、目の充血)
- 血便を伴う重篤な大腸炎
- 急性腎不全(むくみ、尿がでにくいなど)
- 肝機能障害(だるい、白目が黄色いなど)
- 血小板減少(皮下の内出血、出血が止まりにくい)
もし、蕁麻疹、発熱、息苦しい、めまい、血便、皮下出血、眼球が黄色い、尿がでにくいなど、気になる症状が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。
過敏反応
アレルギーを起こしやすい体質の人や両親、兄弟がアレルギー体質の人は、比較的、過敏反応を起こす確率が高くなるといわれています。診察の際は、アレルギー体質であることを医師に伝えましょう。
また、過去にペニシリン系、セフェム系の抗生物質で過敏症を起こしたことのある人は、トミロンでも過敏症を起こす可能性があります。
それは、ペニシリン系とセフェム系は構造が似ている部分があり、一つの薬で過敏症を起こすと他のペニシリン系、セフェム系でも過敏症を起こす可能性があるといわれています。
過去に過敏症を起こしたことがある人は、医師に伝えましょう。
低カルニチン血症
小児、特に乳幼児に投与した場合に、低カルニチン血症による低血糖症状を起こす場合があります。けいれんや意識消失など低血糖症状に注意が必要です。
カルニチンは、血糖のコントロールに関わっていますが、トミロンの成分セフテラムピボキシルの代謝物が、体外に排泄されるときに、体内のカルニチンが一緒に排泄され、血中のカルニチンが低下してしまうために起こります。
また、妊娠後期の妊婦へピボキシル基を持つ抗生物質の投与で、妊婦と産まれた子に低カルニチン血症が見られたとの報告もあります。
すでに、低カルニチン血症と診断されている場合は、医師に伝えましょう。
まとめ
トミロンなど広い範囲の細菌に効果があり、比較的副作用の少ない抗生物質は、よく使用されますが、近年、これら「抗生物質が効かない菌(耐性菌)」が目立つようになってきています。
耐性菌を作らないためには、服用量、服用間隔、服用期間を守って、細菌をしっかり退治することが重要です。