通常、膣の中はデーデルライン桿菌という常在菌の働きで酸性に保たれており、病原菌の感染や増殖を防いでいます。
多くの女性が経験する膣炎は、ホルモンバランスの変化や免疫力の低下などで膣の自浄作用が低下することによっておこります。
淋菌や化膿菌などの細菌、カンジダ菌などの真菌、トリコモナスなどの原虫などの感染によって、膣の粘膜に炎症をおこし、かゆみやおりものの増加などの症状がでます。
膣炎の中でもよく見られるのが、カンジダ菌による膣炎です。強いかゆみと白いポロポロとしたおりものが増えるのが主な症状です。
今回は、そんな膣カンジダ症の治療薬・エンペシド膣錠100mgの効果や副作用について説明します。
効果
エンペシド膣錠は、イミダゾール系の抗真菌薬で、有効成分はクロトリマゾールです。
クロトリマゾールは、カンジダ菌などの真菌の細胞膜の構造や機能を変化さることによって、抗真菌作用をあらわします。カンジダ菌による膣炎や外陰膣炎の治療に効果があります。
使用方法は、1日1回1錠を、就寝前に膣に挿入します。通常は、6日間連続して使用します。必要に応じて使用期間を延長することがありますが、自己判断せずに医師の指示に従って使用してください。
数日で症状が改善しても、途中で使用をやめたりせずに、6日間(あるいは医師から指示された期間)は使用を続けてください。また、生理中は、使用しないようにしましょう。
副作用
エンペシド膣錠の主な副作用としては、局所の熱感や刺激感、掻痒、発赤、疼痛などがあると添付文書に記載されていますが、どの症状も発生頻度は1%未満です。
また、使用後に上記のような副作用を疑うような症状がみられた場合には、使用を中止して医師に相談するようにしてください。
入れ方
入浴後あるいは、患部をぬるま湯で洗浄して清潔にしてから使用してください。挿入前に手指を石鹸などできれいに洗います。
エンペシド膣錠を、膣の入り口から斜め上方へ向かって挿入します。人差し指か中指1本で、薬を膣のできるだけ奥の方まで入れます。
挿入後には、手指をよく石鹸で洗ってください。両膝を曲げて少し前かがみになるような姿勢をとると挿入しやすくなります。挿入後、30分くらいは激しい運動はしないようにしましょう。
まとめ
エンペシド膣錠は、本来は病院で処方される薬ですが、個人輸入などでインターネットでも購入できるようです。しかし、エンペシド膣錠が有効なのは、カンジダ菌による膣炎だけです。
それ以外の病原菌が原因の膣炎には効果がないばかりか、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。まずは、医師の診察を受けて、きっちりと診断をしてもらいましょう。そして、医師の指示を守って使用しましょう。