市販薬で、下痢止め薬といったら「正露丸」と連想できてしまうほど有名な薬ですが、正露丸だけでは下痢症状がおさまらない場合もありますね。今回は、正露丸だけで下痢が止まらない原因と対処法をまとめていきます。
目次
正露丸とは
正露丸は、昔から用いられてきた下痢止め薬です。成分は、大腸の過剰な蠕動運動を正常にして腸管内の水分量を調節する木クレオソートや、腸の運動の調整するアセンヤク末、健胃作用のあるオウバク末と陳皮末、胃粘膜保護作用や解毒作用のあるカンゾウ末といった生薬が配合されています。
正露丸だけで下痢が止まらない原因
正露丸の効果については、昔は、木クレオソートの殺菌作用により下痢を止めていると考えられていましたが、近年の研究で、腸内の水分を調節する作用と蠕動運動の正常化によって、下痢を改善することがわかってきました。
また、木クレオソートを服用すると胃から吸収され、腸内にたどり着くのは極微量なため、腸内細菌を殺菌することはないといわれています。
さらに、正露丸は、腸の正常な蠕動運動を止めることはないとされています。どんな下痢にも効果がありそうな正露丸ですが、正露丸だけでは、下痢が改善されない場合もあります。
お腹の冷えや暴飲暴食などにより腸内の水分調節や蠕動運動に異常がきたして起こる下痢の場合は、正露丸で腸の水分調節と蠕動運動を整えることで下痢は改善されます。
しかし何らかの原因で、腸粘膜に炎症が起こっていたり、びらんや潰瘍ができていたりする場合は、正露丸を服用しても、原因を治療しないと下痢は繰り返されます。
原因となる病気には、以下のようなものがあります。
細菌性・ウイルス性の胃腸炎
細菌やウイルスの感染によって、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などを引き起こします。
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
腸粘膜に潰瘍やびらんができ、血便や下痢、腹痛を起こします。ひどい場合は、1日に20回以上も下痢が起こります。
クローン病
消化管のいたるところに炎症や潰瘍を起こし、腹痛、下痢、血便などになります。
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
大腸の壁の一部が腸壁の外に突出して、そこに便がたまって炎症を起こすと激しい腹痛、下痢、発熱などの症状があらわれます。
大腸がん
大腸にできるがんで、血便、下血、下痢と便秘を繰り返します。
対処法
発熱を伴う下痢、急性の激しい下痢、血便、粘液便の場合は、細菌、ウイルスの感染または、腸の病気が下痢症状を起こしている可能性がありますので、早期に病院を受診し、それぞれの病気に対する治療を受けましょう。
まとめ
正露丸は、近年増えているストレスによる下痢にも効果があるといわれていて、さまざまな下痢に対して緊急時の効果が期待されます。
正露丸は、正常な腸の運動は抑制しないのですが、効果には個人差があるため、正露丸を飲むとぴたっと下痢がとまり、便秘になってしまう場合もあります。
そのため、細菌性、ウイルス性胃腸炎による下痢が疑われる場合は、細菌、ウイルスを腸から排出するため、下痢を止めないように注意が必要です。また、発熱や血便、粘液便を伴う下痢の場合は、病院を受診しましょう。