ドルマイシン軟膏というお薬の名前を聞いたことがありますか? シンプルなパッケージに、なんだかレトロな感じの文字で大きく「ドルマイシン軟膏」と書かれた皮膚用の第2類医薬品です。ゼリア新薬から出ているこの塗り薬。
じつは皮膚に起こるあらゆるトラブルの強い味方なんです。そこで、今回は、デリケートゾーンやニキビへの効能も含めて、ドルマイシン軟膏の用途について解説していきたいと思います。
ドルマイシン軟膏とは
ドルマイシン軟膏は、「コリスチン硫酸塩」と「バシトラシン」という2種類の抗生物質を配合しています。
これら2つの有効成分は、多くの菌に対して抗菌作用を示し、コリスチン硫酸塩はグラム陰性菌、緑膿菌に有効で、バシトラシンはグラム陽性・陰性菌に有効です。主な効果としては、傷ややけどの化膿性皮膚疾患、二次感染の予防や治療が挙げられます。
グラム陰性や陽性といった言葉が出てきましたが、これは重さのグラムとは関係なく、グラムという人が考案した染色方法によって染まる菌をフラム陽性菌、染まらない菌を陰性菌と呼びます。
染まるかどうかの違いは、菌自体に壁がある場合は染まり、陽性と呼ばれ、染まらず膜だけをもつ菌は陰性です。グラム陽性菌、陰性菌はさまざまな疾患を引き起こす原因となります。
主なものとして、陽性菌はとびひやおでき、風邪、肺炎などの感染症、陰性菌は大腸炎、副鼻腔炎(ちくのう症)、中耳炎などです。
また、緑膿菌も、自然界のあらゆる環境に存在し、日常生活ではとくに水回りに多いです。感染した際に緑の膿が出ることからこの名が付けられたと言われており、この菌に感染すると、呼吸器感染症、尿路感染症、菌血症や敗血症などを引き起こします。
ドルマイシン軟膏はこうした身の回りの菌による感染を、抗生物質によって殺菌・治療する軟膏なのです。
陰部にも使うことはできるのか?
ド ルマイシン軟膏の効能に、おできや傷、とびひ、せつ、ようなどに効果があると述べました。
おできにはさまざまな種類があり、体のあらゆる箇所にできます。デリケートゾーンにできたできものは、恥ずかしくてなかなか皮膚科に行けないという方も少なくないと思います。なので、なるべくホームケアで解決しておきたいですよね。
では、ドルマイシン軟膏はデリケートゾーンのできものにも使用できるのでしょうか。答えは、皮膚トラブルの種類によっては使用可能、または効果ありです。
陰部の皮膚トラブルには、以下のようなものがあります。
- 性器ヘルペス
- クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- 毛のう炎
- 粉瘤腫(アテローム)
- バルトリン腺炎
これらのなかでも、黄色ブドウ球菌が陰毛の毛根や脂腺に感染して増殖することで生じる炎症には効果がありますので、4や6の炎症を抑える効果が見込めます。
また、伝染性皮膚炎にもドルマイシン軟膏は効果を発揮しますので、2や3の感染症にも治癒が期待できます。
ニキビへの効能は?
では、ニキビへの効果はどうでしょうか?ニキビはホルモンの分泌によって皮脂が過剰に出てしまい、毛穴が詰まって炎症となるニキビや、アクネ菌が増殖して膿をもったような状態となるニキビなどがあります。
ドルマイシン軟膏には、アクネ菌を殺菌する作用があるほか、ブドウ球菌、マラセチア菌を死滅させる効果があり、化膿を抑える効果がありますので、ニキビ治療にも使用可能です。
効果的な使用方法としては、洗顔後のきれなお肌に化粧水や保湿剤でしっかり潤いを与えた後、ドルマイシン軟膏を患部のみに塗布します。ドルマイシン軟膏は無色透明なので、できれば1日に2~3回ほど、皮膚の状態に合わせて塗りなおすことをおすすめします。
ドルマイシン軟膏は抗生物質なので、お肌の乾燥を引き起こしやすいです。したがって、使用する際は事前に保湿を行うこと、患部のみに塗布することに注意してください。
まとめ
ドラッグストアなどで、1本600円程度で販売されているドルマイシン軟膏。お手頃でありながら、その用途はさまざまです。ご家庭に1本常備しておくと、急な皮膚トラブルにも対応できそうですね。