
出血性膀胱炎は、その名の通り膀胱から出血があり、尿に血が混ざる膀胱の炎症のことを指します。尿の中に血が混じっているとビックリしてしまいますよね。そんなわけで、ここでは、出血性膀胱炎の原因や症状、治療法、治療薬についてまとめていきたいと思います。
原因
膀胱は、尿を一定量溜める臓器ですが、出血性膀胱炎とは、何らかの原因によって、膀胱の粘膜が炎症を起こし、出血する病気です。出血性膀胱炎の原因には、ウイルス性、細菌性、薬剤性、放射線などがあります。
子どもでは、アデノウイルスの感染によるものが多く、女性に多い細菌感染による場合もあります。薬剤性では、抗がん剤のシクロホスファミドやイホスファミド、免疫抑制剤、その他、抗アレルギー剤や抗生物質、漢方薬などでも報告されています。
薬剤性の場合は、膀胱に尿を溜めておかず、頻回に排尿することが一番の予防法です。もちろん、飲水もしっかりしましょう。
また、抗がん剤のシクロホスファミドやイホスファミドによる出血性膀胱炎は、シクロホスファミドやイホスファミドが活性体となるときに一緒にできるアクロレインという物質が膀胱を傷つけることで起こります。
ただし、投与時にメスナという薬を併用することで、メスナがアクロレインを無毒化することができるので、実際に発症することは少なくなっています。
症状
主な症状は、下記のようなものがあります。
- 頻尿(すぐにトイレに行きたくなり、トイレに行く回数が多くなる)
- 排尿痛(排尿時に痛みがある)
- 血尿(血が混ざって尿が赤くなる)
- 残尿感(排尿後、尿が残っているような感じがする)
血尿は、軽症の場合は、見た目にはわからないくらいの血尿ですが、中等症では見た目にも血尿とわかり、重症の場合は、血の塊が見られます。血の塊によって膀胱の尿の排出口が塞がれると、尿が出なくなり、下腹部が膨隆し、痛くなります。
治療法(薬)
アデノウイルス感染による場合は、アデノウイルスに対する治療薬は現時点ではないため、水分を多めにとって利尿をつけ、安静にします。大体10日ほどで血尿は治まり、排尿痛や頻尿、残尿感も1週間ほどでなくなります。
細菌性の場合は、ニューキノロン系の抗菌剤やセフェム系の抗生物質が処方される場合があります。
一方の薬剤性では、原因となる薬の服用を中止し、生理食塩液で持続的に膀胱内を洗浄します。また、プロスタグランジンE2などの止血剤を膀胱内に注入する場合もあります。
まとめ
出血性膀胱炎の原因には、ウイルス性、細菌性、薬剤性、放射線などがあります。頻回にトイレに行きたくなる、排尿時に痛みがある、血が混ざって尿が赤い、尿が残っている感じがするというのが、主な症状です。
治療法は、アデノウイルスが原因の場合は、特に治療薬はないため、多目の水分摂取で利尿をつけ、安静にします。細菌性の場合は、抗菌剤や抗生物質が処方される場合があります。
また、薬剤性では、持続的な膀胱洗浄や止血剤を膀胱へ注入が行われます。もし、上記のような症状が現れたら、放置せずに、医師の診察を受けましょう。