痛風は、血中の尿酸値があがり、尿酸塩結晶が関節の中に析出することによって強烈な痛みを伴う発作を起こすものです。この痛風に対して、コーヒーが良いのではないかと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?ここでは、その理由や効果的な飲み方を見ていきます。
痛風にコーヒーが良いって本当なの?
「痛風にコーヒーが良い」と断言するほどの強いエビデンス(科学的根拠)は示されていません。
しかし、コーヒーについては、2つの研究報告において、痛風の原因となる血清尿酸値を低下させた、あるいは痛風の進行とリスクを低下させたという結論を出している研究報告があります。
1つは、アメリカで平均年齢45歳の男女14,758人に対して行われた食事摂取頻度調査により明らかにされています。この研究では、「毎日コーヒーを4杯以上飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて血清尿酸値が有意に低い傾向」が見られています。
もう1つは、カナダで行われた研究で、40~75歳の痛風でない男性45,869人に対して12年間行われた追跡調査による結果です。
その結果、757人が痛風を発症したが、コーヒーを1日に1杯未満、1~3杯、4~5杯、6杯以上飲む集団に分けてコーヒーを飲まない集団と比較したところ、「痛風発症リスクがそれぞれ1.0倍,0.9倍,0.6倍,0.4倍と低かった」という結論が出ています。
その理由は?
カナダの研究では、ノンカフェインのコーヒー、カフェインを含むお茶なども調査されていますが、ノンカフェインのコーヒーでもリスクが低減されていたのに対し、お茶では効果がなかったことから、カフェインではない別の成分が、痛風のリスク低減に関与しているのではないかと考えられています。
そのことから、カフェイン以外のコーヒーの有用成分であるクロロゲン酸・カフェ酸が関与しているのではないかとも言われています。
効果的な飲み方は?
エビデンスの面からは、効果を断言するほどではありませんが、複数の文献によって痛風に対する効果があったことが報告されています。
特に痛風の予防という面では有用である可能性がありますが、飲み方に注意するべき点があります。
砂糖は糖尿病や痛風の憎悪因子と言われています。従って、コーヒーはできればブラックで飲むのが効果的です。コーヒーは飲んだは良いが一緒に砂糖も多く摂ってしまったのでは本末転倒です。
飲む量は、1日4~5杯くらいなら気にすることはありませんが、妊娠中は3杯未満に抑えておいたほうが良いでしょう。また、カフェインの摂りすぎは、不眠症や神経症、悪心・嘔吐を引き起こすことがありますので、こうしたことがある場合は飲む量を減らすと良いでしょう。
痛風治療中の人だと、キサンチンオキシダーゼ阻害薬であるアロプリノール(ザイロック)といった薬を処方されている人がいますが、この薬を飲んでいるとカフェインの血中濃度が上がりやすく、コーヒーを飲むことで過度の不眠や神経症などが起こりやすくなります。
ですので、痛風の薬を服用されている方は、コーヒーを飲んでも大丈夫か、どのくらいまでならいいかを相談することをお奨めします。
まとめ
痛風に対するコーヒーの効果は、保証できるほどのエビデンスはありませんが、痛風のリスク低減などの可能性を示唆する報告が複数されています。
飲む際はブラックで、痛風の薬が処方されている場合は、処方されている薬との相互作用も考えてお医者さんに相談することも大切です。