どちらも発疹ができ、発熱を伴うため見分けにくい水疱瘡と手足口病。時には医師ですら判断が難しいと言われています。では、2つにはどのような違いがあるのでしょう。今回は、水疱瘡と手足口病の違いについて説明していきます。
水疱瘡とは
水疱瘡とは、水疱瘡・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの仲間による感染症を指します。
特徴
感染力が非常に強いです。生後まもなくでは親からの免疫によりなりにくく、10歳ごろまではよくみられます。一度免疫が付けば二度と感染することはありません。
体、手足、口の中、頭髪の中、股など発疹が出始めて2~3日で全身に広がります。水疱や赤い湿疹など、様々な形状がみられます。高熱はあまり出ませんが、38度くらいの熱が2~3日目にでることがあります。痒みが強いです。
対応策
治療の開始が早いと症状も軽く済むので、早めに小児科か皮膚科へ受診する。
手足口病とは
その名の通り、手・足・口に発疹ができる病気です。ですが、最近では、発疹の出る部位が以前と変わってきているそうです。
特徴
発疹箇所は、手・足・口に加えて、顔・腕・手の甲・足の甲・膝・太ももなどにも出るようになってきています。でき始めはツンと尖った発疹です。
だんだん赤みが出て発疹の枠が広がってきます。1-4歳前後の幼児に多く発症する。38度以上の発熱が2-3割ある。発疹は痛みがあります。
対応策
口内の発疹は激しい痛みを伴うので、水分補給に気をつけ脱水症に注意しましょう。口内に痛みがあるので熱いもの、刺激の強いものは避けましょう。爪を短く切り、患部をこすらないよう清潔に保ちましょう。
注意点
稀に髄膜炎を起こすことがあるので、高熱・頭痛・痙攣・嘔吐などの症状がある場合は、すぐに診察を受けるようにしましょう。夏場に多い病気なので、脱水症にはくれぐれも気をつけましょう。
水疱瘡と手足口病の違い
手足口病と水疱瘡の違いは、水疱ができる場所です。
手足口病は、まず、手・足・口に水疱ができて、その後で口の中に小さな発疹ができます。次に手の平や足の裏に発疹ができ、それから、膝やお尻に発疹ができます。
それに対して、水疱瘡は頭や顔に発疹が現れ、1-2日で全身に広がります。頭にも発疹ができるのが水疱瘡の特徴です。
ただし、手足口病でも全身に発疹ができることがあります。また、夏になると汗疹ができて、手足口病の発疹と一緒になると区別がつかなくなることもあります。
そうなると手足口病と水疱瘡の見た目の違いはなくなるので、医者も見分けることができません。
医者は検査をするわけではなく、見た目で判断しますので、手足口病と水疱瘡の見た目に違いがなくなれば、どちらなのか判断できないのです。
水疱瘡と手足口病の対応策
区別がつかない場合、医者は水疱瘡として治療するそうです。
理由①
水疱瘡には特効薬がありますが手足口病は特効薬がありません。手足口病は10日くらいで自然に治ってしまうので、特に治療をする必要はないのです。
また、水疱瘡の薬は副作用がほとんどありません。ですから、手足口病の患者に水疱瘡の治療をしても、悪影響が出ることはありませんので、水疱瘡として治療をしてしまうのです。
逆に水疱瘡の患者に手足口病の治療をすると、症状が悪化することがあります。例えば、手足口病の患者にステロイドが処方されることがありますが、水疱瘡の患者にステロイドを使うと症状が悪化してしまうのです。
さらに、手足口病患者にステロイドを使ってもかゆみを止める程度で、病気が早く治るという事はありません。ですから、手足口病の患者か水疱瘡か判らない場合は、治療面から水疱瘡として処置してしまうのです。
理由②
水疱瘡は学校保健安全法の第二種感染症に分類されています。原則完治するまでは学校を欠席しないといけません。ですが、手足口病は第三種感染症に分類されています。
感染の恐れがなくなれば学校に出席していいことになっているのです。つまり、水疱瘡患者を手足口病患者として扱うと、学校を欠席しないといけないのに出席させてしまう恐れがあります。
ですが、手足口病患者を水疱瘡患者として扱った場合は、学校に出席できるのに欠席させてしまうことはあるものの感染予防の点から考えれば何ら問題はないため、水疱瘡として扱うのです。
最後に
今回は、水疱瘡と手足口病の違いについて解説してきました。見かけにくい2つの症状を見分ける手助けになればと思います。