動脈硬化は血管の病気だということは知っていても、具体的にどうして体にとって悪いのか、放っておいたら何が起こるのかよくわからないという方もいると思います。
動脈硬化は誰にでも起こりうる可能性がある怖い病気です。そこで、今回は、動脈硬化とはどのような病気か、そして、高血圧との関係について理解を深めたいと思います。
動脈硬化とは
人間の体には全身血管が通っているのは周知の事実ですが、水道管などと同じく、年月の経過と共に衰えてきます。動脈の働きは本来、体が機能するために必要な栄養や酸素、酵素などをいきわたらせることですが、動脈が劣化し、うまく運搬作業ができなくなってしまうと、血管の壁が剥がれやすくなったり、その壁が血管をつまらせてしまうことにつながります。
血管が狭くなり、うまく機能しなくなると、ますます流れが滞り、血管の壁が硬くなってしまいます。これが「動脈硬化」の症状です。動脈硬化になってしまう原因は加齢だけではありません。過度の飲酒や喫煙、脂質の高多い食生活、運動不足、ストレスなどさまざまな要因がもととなって起こります。
高血圧とは
血管を流れる血の圧力を血圧といいます。もっとも圧力がかかるとき血管は収縮するため、収縮期血圧、一方、圧力がかからないときに血管はゆるみますので、「拡張期血圧」と呼びます。
心臓は毎分60~70回程度血液をポンプのように送り出しています。この収縮期、拡張期がそれぞれ140mmHg〜90mmHg以上の場合高血圧と判断されます。
2つの関係は?
一見、血管という共通項意外に2つの症状は相互に関係していないようですが、実はとても深い関連があります。というのも、高血圧の状態が続くことで、心臓では高い圧力の血流を流そうとして筋肉を増やします(これを「心肥大」と呼びます)。
筋肉が増えると必然的に血圧は高まり、高血圧になります。このような悪循環が繰り返されることで、慢性的に高い圧力を受け続けると、血管は硬くなってしまい、動脈硬化を引き起こすのです。
したがって、高血圧が心筋を増やすことで心肥大を引き起こし、心肥大によってますます高血圧になり動脈硬化を引き起こすという悪循環を招くのです。
動脈硬化を放置すると、臓器や組織に十分な栄養が行きわたらなくなり、心臓の筋肉の壊死である心筋梗塞や、心臓の機能が低下する心不全、また、脳への血管がつまって出血するくも膜下出血など甚大な病につながる可能性があります。
まとめ
高血圧と動脈硬化は相互に作用しあって悪循環をもたらします。放っておくと、とり返しの付かないことになる恐ろしい症状です。高血圧や動脈硬化と早めに診断されれば、改善することが大いに可能です。
一方で、動脈硬化は沈黙の病気とも言われています。肥満や高血圧などがあり、生活習慣などから思いあたる方は一度内科に行って検査を受けてみることをおすすめします。