外耳炎になると、耳の強い痛みやかゆみの症状が現れますが、軽度の外耳炎であれば、3日くらいで、自然治癒します。しかし、まれに重症化したり、他の病気があるために免疫力が低下していることによる発症したりすることもあります。
外耳炎の中には、耳の痛みだけでなく、頭痛も伴う症状がでることがあります。今回は、外耳炎での頭痛が起こる原因と対処法についてご紹介致します。
外耳炎で頭痛が起こる原因
「耳せつ(急性化膿性限局性外耳炎)」になると、強い痛みと共に頭痛が起こることがあります。通常の外耳炎に比べて、耳の痛みもかなり強く現れます。
「せつ」とは、おできのような膿の塊のことで、この「せつ」が外耳にできた状態を「耳せつ」といいます。外耳道は、耳の入り口から、鼓膜までの間のことですが、内側3分の2が骨部で、外側3分の1は軟骨部でできています。
外耳道の外側3分の1の部分には、皮下組織が厚くできていて、汗腺や皮脂腺、毛根を包む細胞の毛包など分泌をおこなうための組織が多く存在しています。この部分に細菌感染を起こすとことが原因で、「せつ」といわれる膿の塊がつくられます。
細菌感染の主な原因は、耳かきや爪などで傷がついていると、ブドウ球菌などが入り込み増殖し、「せつ」がつくられます。この膿の塊の「せつ」があると、耳全体に触ることもできないような強い痛みが現れ、同時につらい頭痛も引き起こします。
何度も「せつ」ができるような外耳炎を繰り返す場合は、単に傷からの細菌感染でからでなく、糖尿病などの病気があるために、発症しやすくなっていることも考えられます。
外耳炎で頭痛が起こったときの対処法
軽度の外耳炎では、耳の痛みやかゆみなどの症状が3日くらいすれば、自然に回復していき、頭痛まで起こることはまれです。
しかし、外耳に「せつ」という膿の塊ができてしまう急性化膿性限局性外耳炎が発症すると、「せつ」の膿の塊があるうちは、耳の強い痛みが頭部にまで広がり、頭痛も伴うようになります。一般的な外耳道炎は、外耳道の入り口にできますが、奥の方に「せつ」ができるほど痛みは強くなる傾向にあります。
この強い痛みは、「せつ」が破れ、膿が排出されてしまえば、急激に痛みが引いていき楽になります。自分でさわってしまうとより感染を広げてしまうことになるので、医療機関を受診し処置してもらいましょう。
感染には抗生剤の服用と副腎皮質ステロイド薬の塗布、痛み対策には鎮痛剤などが処方されます。膿を排出させるために、サリチル酸の塗布や綿花でつくられたタンポンで圧迫し、「せつ」を自潰させる処置をおこないます。
強い耳の痛みや頭痛は、膿が排出されれば、治まってくるので、それまでのあいだは、鎮痛剤などを服用し対処しましょう。糖尿病などの全身疾患がなく健康な状態であれば、1週間程度で改善されていきます。
まとめ
「せつ」は外耳道の入り口にできることが多いのですが、奥の方にできた場合には、頭痛を伴い重症化する可能性があるので、注意が必要です。
「せつ」の腫れにより、耳の中がふさがれてしまったり、頸部リンパ節炎が併発したり、適切な処置をおこなわないと難聴の後遺症が残る場合もあります。きちんと完治するまで、医療機関での治療を続けることが大切です。