
鼻咽腔血管線維腫は鼻腔の上後方や上咽頭に好発する良性の腫瘍で、その患者のほとんどは思春期の男性という珍しい病気です。この記事では、鼻咽腔血管繊維腫の原因や症状、治療法や治療薬についてまとめていきたいと思います。
原因は?
鼻腔血管線維腫の明確な原因は分かっていませんが、患者の大半が14歳~16歳の男性に偏っており、女性やそれ以外の年代の男性はほとんど発症しない事から、性ホルモンの関与とそれに対する異常反応の線が疑われています。
症状は?
初発症状では、鼻出血や鼻づまりが見られることが多いです。大きくなると上咽頭に開口している耳と鼻をつなぐ耳管を閉塞して、滲出性中耳炎という非感染性の中耳炎を起こして、難聴の症状が出ます。
増殖傾向が強く、良性でありながら腫瘍周囲の骨を巻き込みながら進展していくので、さらに進展すると眼球突出や頬の腫れ等の症状を来すことがあります。上方へ進展すると頭蓋内に入り、内圧が上がることで意識状態が悪くなる場合もあります。
治療は?
鼻咽腔血管線維腫の治療の基本は、外科的切除で腫瘍を取り除くことです。
この腫瘍は鼻腔の奥、つまり顔面の深部に存在して手術の視野が元来狭いにも関わらず、非常に血管に富んでいて、簡単に出血して視野を妨げるため、手術前にはまず、腫瘍の血管造影をします。
その後、腫瘍を栄養している主たる血管に対しては閉塞術を施して、出血のリスクを抑えてから手術に進むケースが多いです。アプローチするルートによって、涙を鼻に流す鼻涙管の損傷や、鼻と口蓋が貫通してしまうという合併症があります。
その他には放射線治療があり、かつては腫瘍の中に放射線を発する物質を埋め込む組織内照射が行われる事がありましたが、現在は腫瘍の中心部をターゲットに設定し、そこに外部から放射線を当てて、主要部分に濃度のピークが来るようにする外照射がメインの治療です。合併症として頭蓋骨の発育遅延があります。
補助的な治療としてエストロゲン、テストステロンといった性ホルモンの投与も行われています。合併症として乳房が発達したり、睾丸が委縮したりする女性化が挙げられます。
腫瘍の制御率からみる治療成績は手術が73~94%、放射線治療が73~85%と大きな開きはなく、完全切除が見込まれるステージが低い患者は手術、周囲の目や骨組織を巻き込んで完全摘出が困難な場合は放射線治療が選択される傾向があります。
まとめ
鼻咽腔血管線維腫の原因、症状治療についてまとめました。この病気は日本における年間発症人数は約20人と非常に珍しい病気ですが、良性ながらも大きくなると治療が難しく、治療早期発見、早期治療が大切です。