
妊娠はいわば特殊な生理状態の時期ですが、妊婦の糖尿病には何か特徴があるのでしょうか?妊娠糖尿病とはどういったものなのでしょうか?妊婦の糖尿病の場合、食事はどんなことに気をつけるべきなのでしょうか?ここでは、妊娠糖尿病についてまとめていきます。
妊娠糖尿病とは
妊婦の糖尿病を考えるとき、既に妊娠前から糖尿病であるとわかっている糖尿病合併妊娠と、妊娠中に明らかに糖尿病と診断されるケースと妊娠中に一時的な糖代謝異常が見つかるケースがあります。
このうち、「妊娠糖尿病(GDM)」は、名前に「糖尿病」とついていますが、日本産婦人科学会及び日本糖尿病・妊娠学会の定義としては、妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常としています。
つまり、糖尿病になる手前の段階のものです。診断は、空腹時の血糖値とともに、「75g経口糖負荷試験(OGTT)」といって、ブドウ糖を75g水に溶かしたものを飲んで糖負荷をかけて、1時間後や2時間後に血糖を測定して、その結果により判断されます。
妊娠糖尿病は、全妊婦の約12%に起こるといわれていて、ほとんどの場合は、出産とともに糖代謝機能は正常に戻りますが、将来的に糖尿病になる確率は、血糖が正常だった妊婦の約7倍と言われていますので、産後も糖尿病に気をつけることが大切です。
妊娠時には、プロラクチン、成長ホルモンといったホルモン分泌による抗インスリン作用により、母体の肝臓や筋肉に沈着するグリコーゲンが減り、多量の糖が血中にでてくることになり、さらにはこれが胎盤を通して胎児にも送られます。つまり血糖が高くなりやすい状態になっています。
糖尿病合併妊娠の場合は、胎児に流れる血液も高血糖状態となるため、母子ともに合併症を起こすリスクが高くなり、胎児が先天奇形を合併する可能性もあります。
妊娠糖尿病では、糖尿病合併妊娠ほどのリスクはありませんが、正常に比べれば糖代謝異常により血糖が高くなっているので注意が必要です。
おすすめの食事は?
血糖をコントロールし、かつ必要なエネルギーを摂取していかなくてはなりません。母体の健康を維持し、胎児の発育に必要なエネルギーと栄養が必要になってきます。つまり、栄養バランスが必要で、主食・主菜・副菜を万遍なく摂ることが大切です。
万遍なく摂るのですが、その中で、血糖をコントロールする意味で、糖質は控えるようにしますが、エネルギー源としても必要なので、主食(米・パン・麺)を極端に減らすのではなく、甘い物を減らすようにします。塩分も控え、1日6~8g程度に抑えるようにします。
一方、酸素を届けるヘモグロビンの原料になる鉄、胎児の骨や歯の形成に欠かせないカルシウム、胎児の成長を促進する葉酸、ブドウ糖の吸収を緩やかにして食後の血糖値の上昇を抑える食物繊維、体を構成するタンパク質は積極的に摂るようにします。
食後の急な血糖上昇を防ぎ、また空腹により副産物としてできてしまうこともあります。また、有害物質であるケトン体を溜めないために、食事の回数を3回ではなく、6回ぐらいに分けて少量ずつ食べていくことがお奨めです。
血糖値の目安は?
それでは、妊娠時の血糖はどのぐらいを目安に考えればよいのかというと、空腹時血糖値として70~100mg/dL、75g 経口糖負荷試験の2時間後の血糖値が120mg/dL未満とされていて、可能な限り健常な妊婦の血糖日内変動範囲に近づけることが目標とされています。
まとめ
妊娠時は、ホルモンの関係などから血糖が上昇しやすい傾向があります。高血糖の状態が続くと、母体にとっても胎児にとってもよくない状態ですので、妊娠時は特に血糖をしっかりコントロールすることも大切です。
食事は甘い物などを減らし、鉄・カルシウム・葉酸・タンパク質などを積極的にとり、1日6回ぐらい少量ずつ食べると良いでしょう。