盲腸にできるがんは大腸がんのひとつですが、比較的まれになります。場合によっては虫垂炎と区別がつかないこともあります。手術をして切除した部分を検査して、初めてがんだと診断されることもあるのです。
大腸がんは直腸、結腸、盲腸の3つに分かれますが、今回は、この中でも珍しい盲腸がんについて、原因・症状・治療法などをまとめてみました。
目次
原因
盲腸がんのはっきりとした原因はわかっていません。大腸がんのひとつになるので、これにかかりやすくなる原因はいくつかあります。
- 大腸ポリープができやすい
- 血縁者に大腸がんの経験者がいる
- 長い間潰瘍性大腸炎を患っている
- 喫煙者
- 食生活の乱れ
- 脂肪の多い食事
- 赤身の肉が好きな人
- 飲酒
- 繊維の少ない食事
症状
盲腸がんの初期段階は、これといった症状を感じることはありません。しかし、進行していくにつれて右下腹部痛や腹部の違和感、右下腹部にしこりを感じます。これらの症状は、虫垂炎の症状と似ているため虫垂炎と間違えることもあります。
その他にも進行とともに現れる症状が、貧血や黒色便になります。がんの進行が進むと、嘔吐や吐き気、ガスが出たり、便の出が悪くなったりします。
検査
注腸造影検査
肛門からバリウムと空気を注入してレントゲン写真を撮ります。
大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡を挿入して、直腸から盲腸までの大腸の全体を調べます。
腫瘍マーカー
血液検査で身体のどこかにあるがんを見つけます。
画像検査
CT、MRI、エコー、PETなどから診断します。
治療法
盲腸がんは大きくなるまでは症状が出にくいため、発見された時点で進行していることが多くあります。
そうなるとほとんどのがんと同じように、治療法は手術でがん細胞を切除する方法になります。その他に放射線治療や抗ガン剤の投与があります。
化学療法は進行しているがんの手術後の再発防止を目的にした場合と、根治目的が不可能な進行がんのときに使われます。
手術法
内視鏡手術
肛門から内視鏡を挿入してがんを切除する方法です。
腹腔鏡手術
内視鏡手術が困難場合、お腹に小さい穴を数か所開けて腹腔鏡を挿入してがんを切除する方法です。
開腹手術
基本は開腹手術になります。がんに侵されている細胞を切除することで根治を目指します。
予後の経過
定期検査
手術後5年間は定期的に受診して、CTや腫瘍マーカーなどで再発がないか確認します。
日常生活
下痢や軟便、頻便傾向になりやすくなります。
食事
食物繊維が多いものや消化しにくいものは、手術後3カ月間は控えるようにします。食事はゆっくりと楽しむようにしましょう。
最後に
盲腸がんは症状が現れて初めてわかることが多くあります。食生活に気をつけて、酒やタバコは控えめにしましょう。最低でも、1年に1度は大腸の検査を受けることが早期発見につながります。