感染症の原因となる微生物には、ウイルス、細菌、真菌、原虫があります。感染症はその原因となる微生物によって効果がある薬が違うので、効果がある薬を正しく選択することが治療効果に直結します。
細菌に効く抗生物質は、ウイルスや真菌には効果がありません。真菌には、抗真菌薬が有効です。今回は、病院で処方される抗真菌薬の塗り薬・エンペシドクリームの効果や副作用、塗り方について説明していきます。
効果
エンペシドクリームは、イミダゾール系抗真菌薬という種類のお薬です。有効成分のクロトリマゾールが真菌の細胞膜に結合して、その構造や機能に障害を与えて真菌をやっつけてくれる塗りやすいクリームタイプのお薬です。
また、次の皮膚真菌症の治療に使用されます。
白癬菌(皮膚糸状菌)の感染の場合
- 水虫(汗疱状白癬、趾間白癬)
- いんきん(股部白癬・頑癬)
- たむし(斑状小水疱性白癬)
カンジダ菌の感染の場合
- 指間びらん症
- 間擦疹
- 皮膚カンジダ症
- 爪周囲炎
- 乳幼児寄生性紅斑
マラセチア(酵母の一種)の感染の場合
- 癜風(「でんぷう」と読みます)
副作用
エンペシドクリームの副作用は多くはありませんが、細胞膜に作用して真菌を殺すお薬のため、人の細胞にも作用を及ぼすことがあります。
しかし、副作用の症状があらわれる頻度は1%以下なので、過剰に心配する必要はありません。また、エンペシドクリームは塗り薬なので、副作用があったとしても局所的で全身に作用する心配はありません。
主な副作用は、塗布した部分の刺激感や皮膚炎、発赤・紅斑、びらん、丘疹などです。このような症状があらわれた場合は、使用を中止して医師に相談するようにしてください。
塗り方
使用方法は、1日2~3回・適量を患部に塗布してください。エンペシドクリームは、1日1回の塗布では効果が持続しないので、塗り忘れないように注意しましょう。
塗り忘れに気づいたら、すぐに塗りましょう。その場合も2回分の量を1回に塗ってはいけません。塗布する前には、患部や指をきれいに洗いましょう。また、入浴後に塗ると効果的です。
クリームを塗布するときには、こすりつけるのではなく、薄くのばして患部にやさしく塗ります。真菌は症状がでている範囲よりも広い範囲に感染しています。お薬は広めに塗布しましょう。
塗り方や塗る量がわからない場合には、医師や薬剤師に確認してかから塗るようにしてください。
まとめ
エンペシドクリームは、真菌の感染によっておこる皮膚病に高い治療効果がある塗り薬です。しかし、自己判断で使用を中止したり、過剰に使用したりするとかえって症状が悪化することがあります。必ず、医師の指示を守って使用するようにしましょう。