アットノン、ヒルドイドってご存知ですか?どちらもヘパリン類似物質というのが主成分ですが、両者に違いや使い分けはあるのでしょうか?ここでは、アットノンとヒルドイドの違いと使い分けについてまとめていきたいと思います。
アットノンとは
アットノンとは、ヘパリン類似物質を有効成分とする、小林製薬が製造販売している傷あとを改善する薬です。第2類医薬品に分類される市販薬で、薬局・薬店で購入できます。
クリーム・ローション・ジェル・コンシーラーの4タイプがあり、どのタイプでも同等の効果が期待できます。赤みが残っていたり、もりあがっている傷あとややけどあと、虫刺されのかきむしったあとなどに効果があります。1~2年たってしまった傷あとにも効果が期待できるそうです。
その作用は、ヘパリン類似物質が皮膚の奥(基底層)まで浸透し、水分を保つ作用、炎症を抑える作用、血行を良くする作用で皮膚の新陳代謝を良くし、傷あとを残りにくくします。
ただし、傷が治りかけの段階では、血行を良くすることで血が止まりにくくなり、傷自体の治りを妨げてしまうため、使用できません。眼や眼の周囲、粘膜にも使用できません。また、「顔面にあるやけどのあと、傷あと、かさぶたには使用しないこと」となっています。
ヒルドイドとは
ヒルドイドとは、ヘパリン類似物質を有効成分とする、マルホ株式会社が販売している血行促進・皮膚保湿剤です。ヒルドイドは、医療用医薬品(処方薬)で購入には医師の処方箋が必要です。
クリーム・ソフト軟膏・ローション・ゲルの4つのタイプがあります。皮脂欠乏症といった乾燥肌や盛り上がった傷あと、ケロイドの治療や予防、血行障害による疼痛、炎症疾患に対して、炎症を抑えるために用いられます。
ヘパリン類似物質の保湿作用、炎症を抑える作用、血行を良くする作用により、肌の乾燥を防ぎ、肌の新陳代謝を活発にして、傷の治りを良くします。ただし、潰瘍やびらんしている部位や眼には、使用できません。
ヘパリン類似物質とは
アットノンとヒルドイドの違いや使い分けをご紹介する前に、両剤の有効成分である「ヘパリン類似物質」とは何なのかについて少しご紹介します。
ヒトの体内では、肝臓で「ヘパリン」という物質が作られ、細胞間の水分を保ち、血行を良くし、血液の凝固を抑える働きがあります。両薬の有効成分は、このヘパリンと似た働きをする物質であるため、「ヘパリン類似物質」といいます。
2つの違いや使い分けは?
それでは、2つの違いや使い分けについて見ていきたいと思います。アットノン、ヒルドイド、どちらもヘパリン類似物質を0.3%含有していて、同じ効果が期待できる薬です。
効能・効果も表示の仕方に違いがありますが、乾燥肌や傷あと、手足の荒れ、しもやけの改善、打ち身・捻挫の腫れを抑えるなどの効果も同じです。
ただ、ヒルドイドには、血栓性静脈炎(痔核を含む)に対する効果が明記されていますが、アットノンにはありません。
アットノンとヒルドイドの大きな違いは、アットノンは一般用医薬品(市販薬)で、薬局・薬店で購入できるのに対して、ヒルドイドは、医療用医薬品(処方薬)で、購入するには、医師の処方が必要であることです。
使い分けは、特にはないと考えられますが、アットノンでは、顔にあるやけどあとや傷あと、かさぶたには使用しないことと明記されていますので、顔面への使用は避けなくてはいけません。しかし、ヒルドイドには、顔面皮膚への使用について特記はありません。
アットノンもヒルドイドも出血しやすい病気(血友病、血小板減少症、紫斑病など)のある方は、出血を助長する恐れがありますので、使用できません。
まとめ
アットノンとヒルドイドは、市販薬と処方薬の違いがありますが、有効成分は同じヘパリン類似物質です。どちらも保湿効果や傷あとを改善する効果、炎症を抑える効果があり、使用方法も同じです。
アットノン、ヒルドイドは、医薬品であり、副作用(発疹や発赤、かゆみ、腫れなど)の報告も少ないけれどあります。使用時は用法用量をしっかり守り、気になる症状が現れたら、早期に医師に相談するようにしましょう。