狭心症は、その原因や発作の起こり方によりいくつかの種類に分類されます。狭心症の中でも心筋梗塞に移行してしまう確率が高い不安定狭心症は、とくに注意が必要です。今回はこの不安定狭心症について考えてみたいと思います。
不安定狭心症とは
不安定狭心症は動脈硬化などが原因で、心臓への血流が不足して起こる労作性狭心症のひとつです。胸の痛みなどの発作が突発的または不規則に起こり、症状の強さも発作毎に変わります。
規則性がないことから、不安定狭心症と呼ばれています。安静時にも発作が起こることもあり、急性心筋梗塞に移行する確率の高い狭心症です。
症状一覧
不安定狭心症は症状のパターンが変化することが特徴です。症状が長引いて悪化したり頻繁に起きたりして重症化すると、安静時や軽い運動の後でも発作が起こるようになります。主な症状をあげてみます。
- 間欠的な胸の圧迫感
- 胸骨裏の痛み
- 息切れ
- 疲労感
- 胸の中央から背中の痛み
- 左肩の痛み
- 腹部の痛み
心臓発作を起こした1/3の人は、胸の痛みを感じないと言われています。とくに女性や高齢者、心不全や糖尿病、脳卒中を起こしたことがある人は胸の痛みを感じにくくなります。
原因一覧
狭心症は、冠動脈が狭くなったためにここを流れる血液量が制限されて、心筋に栄養補給ができなくなることで起こります。血管が完全に詰まると心臓への血流が遮断されて、心筋梗塞に移行します。血管が狭くなる原因をあげてみます。
動脈硬化
動脈硬化は老化現象で年をとると誰でも起こりますが、それが病気に進むにはいくつかの危険因子が関係しているのではないかといわれています。
- 高血圧
- 高脂血症
- 糖尿病
生活習慣
狭心症を起こす原因は普段の生活の中にも隠れています。
- 肥満
- 喫煙
- ストレス
- 不眠
- 極度の興奮
- 過労
- 運動不足
治療法・治療薬一覧
不安定狭心症の治療は、心筋梗塞に移行することを防ぐことが目標になります。不安定狭心症と診断されると、原則は入院して治療することになります。出来るだけ早く入院して心筋梗塞や突然死を予防します。それでは、詳しい治療法を見ていきましょう。
①薬物療法
- 冠動脈を拡げる薬
- 脈拍数や血圧を下げて心臓の負担を軽減する薬
- 血栓を予防する薬
- コレステロールを下げる薬
- 糖尿病などを治療する薬
②カテーテル治療
冠動脈内にカテーテルを挿入して、金属のメッシュ素材のステントなどを拡げて、狭くなった血管を拡張する治療法です。
③バイパス手術
全身麻酔下で開胸し、狭くなった血管の先に他の部位の血管をつなぐ手術です。
最後に
不安定狭心症は労作性狭心症の症状が進行したものです。発作が不規則に起きたり安静にしていても起こるときは、迷わず病院へ行ってください。早期発見が早期治療につながります。