
食べ過ぎやストレスによって起こる逆流性食道炎ですが、その詳しい原因や治療法は以外と知られていません。食べると胸やけや胃もたれが辛いという人は私の周りにもけっこう多くいます。今回はこの逆流性食道炎の治療法について考えてみたいと思います。
目次
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎は、「胃の内容物が食道の方へ逆流することで、食道の粘膜が刺激されて起こる疾患」です。
主な症状は胸の中央あたりが食後に熱くなる胸やけの他にも、胃の部分が重く感じる胃もたれや胃痛もおこしやすくなります。
また、酸っぱい液が上がってきてゲップが出る「呑酸(どんさん)」という症状や、のどに炎症が出たり咳が出る人もいます。
逆流性食道炎の診断
診断は食道ファイバーと呼ばれる内視鏡検査が主体となります。問診で逆流性食道炎疑う症状があるようなら、内視鏡検査を行います。口や鼻から細い内視鏡を入れて炎症を起こしている部分を確認します。
逆流性食道炎の治療法一覧とその期間
主な治療法は、薬物療法と食事療法、生活習慣の改善になります。
薬物療法
薬物療法では胃酸の分泌を抑えて食道への胃酸の逆流による傷害を抑え、食道の炎症と自覚症状をなくすことが目的になります。
プロトンポンプインヒビター
胃の壁細胞に存在する胃酸を分泌する仕組みの最終段階であるプロトンポンプに結合することでその働きを直接抑え、胃酸の分泌を抑制する薬です。オメプラゾール、ラベプラゾール、パリエットなどがこれにあたります。
H2ブロッカー
胃酸を分泌させる3つの化学物質のうちヒスタミンが受容体と結合することを防ぐことで胃酸の分泌を抑制します。アルサメック、タガメック、ザンダック、ファモチジン、ガスター、アルタットなどがこれにあたります。
制酸剤
胃酸を中和する薬で胃酸分泌抑制剤を併用して使われます。
消化管運動機能改善剤
食道の運動機能を良くして逆流してきた胃酸を押しもどしたり、胃の運動を良くして胃からの排出を促す働きを高めます。
食事療法
初期の段階では食事療法で改善することもあります。基本は糖分・脂肪分・香辛料などの刺激の多い食品やアルコールやカフェインを含む飲み物などを控えながら、野菜を中心とした胃にやさしい食事をバランス良く摂ることになります。
腹八分目を心がけて、ゆっくりと良く噛んで食べることが大切です。また、食べ過ぎると胃袋が伸びきって入り口が閉まりにくくなり胃の内容物が逆流しやすくなる状況を作ってしまいます。食べ過ぎには十分注意しましょう。
生活習慣
まず、太っている人は痩せましょう。お腹が大きいと腹圧が上がりやすくなり逆流性食道炎を起こしやすくなります。ベルトやキツイ下着で体を締め付けることも良くありません。
重いものを持つことも腹圧が上がりやすくなる原因になります。また、食後すぐに横になることも逆流を起こしやすくなります。食後1-2時間は横にならないようにしましょう。
寝るときには、頭側を高くして横向きの場合は右を下にすると良いでしょう。食後にチューインガムを噛むことは唾液の分泌量が増えて食道が洗浄、中和されるので、症状が軽くなることがあります。
最後に
逆流性食道炎は薬で良くなる場合がほとんどですが、服用を止めると再発してしまいます。医師の指示に従って、必要な期間は服用を続けるようにしましょう。
また、食生活や生活習慣も非常に大切になります。薬を服用するだけでなく、正しい生活習慣が治療法の基本となるのです。