
逆流性食道炎は、胃液が食道に逆流し食道が炎症を起こす病気です。テレビ番組で原因不明の胸やけの正体として紹介されたことから注目されていますし、専門医もここ最近で逆流性食道炎の患者が増えてきていると感じている人も少なくないようです。
逆流性食道炎の症状では、胸やけだけでなく、咳や胸痛といった症状が出るケースもあります。どのような原因で、そのような症状がでるのでしょうか。対処法と併せて紹介していきます。
胃液が逆流するのはなぜ?
通常は、食道から胃にかけては一方通行で胃液などが逆流することがない仕組みになっています。
その働きを担っているのが下部食道括約筋と呼ばれる筋肉で、食道と胃の入り口に存在し、胃液などが逆流してくるのを防いでくれています。
しかし、筋肉である以上は加齢によって力が弱まってしまうことがあり、そのため高齢者を中心に逆流性食道炎になってしまう人が増えてきていると言われています。
同時に食事の欧米化によってタンパク質や脂質が多く含まれた食事をするようになったことで胃液の分泌量が増えて、逆流性食道炎になる人も増えているようです。
胃液の過剰分泌は、胃に負担をかけますし、そのことによってストレスを与えてしまうため、下部食道括約筋の働きが弱まってしまうことがあります。これが胃液が逆流してしまう原因になっています。
胸痛や咳はなぜ出るのか?
逆流性食道炎の代表的な症状は、胸やけですが、ときに胸痛や咳が出ることがあります。これは食道に長時間胃液が存在してしまうことで、炎症がひどくなることが原因で引き起こされる症状です。
通常、食道は蠕動運動を行なっており、常に胃の方へと食物などを運んでくれていますが、下部食道括約筋の筋力低下に伴い、その蠕動運動も弱まってしまうケースが確認されています。
そうなると、すぐに胃に戻っていくはずの胃液が食道に留まることになります。胃液は酸性の液体ですが、食道はそれに対しての防御手段を持っていません。
そのことが炎症を起こす要因になっていますが、長時間留まっていると、ひどい炎症を起こしてしまいます。
食道の炎症は風邪を引いたときにも起こりうる症状なので、咳が出ることもありますし、胸痛として症状が表れることもあります。
どのように対処すべきか?
逆流性食道炎による胸痛や咳を改善していくには、原因となっているものを除去していくのが一番です。
食事は、消化しやすいものに変えて、ストレスを解消していくようにすることがポイントとなります。タンパク質や脂質は三大栄養素の中でも消化に時間がかかることが分かっています。
つまり、その分胃液が分泌され続けるということなので、症状がなくなるまでは消化しやすいものを食べるようにするのが良いでしょう。
また、食物繊維も消化に時間がかかってしまうものなので、極力控えるのがお勧めです。
逆流性食道炎の場合、胃液の分泌を抑える薬が処方されることが多いので、それを併用しながら、食生活を改善していくことで逆流性食道炎が治りやすくなっていきます。
逆流性食道炎が治ったら、次の項目をチェックしていきましょう。
- 過食になっていないか?
- 食事後すぐに横になっていないか?
- コーヒーなどカフェインが含まれたものを摂り過ぎていないか?
- タバコを吸いすぎていないか?
- お腹を締めつけすぎて圧迫していないか?
- 猫背になっていないか?
これらの項目に当てはまるものを改善していくことで、逆流性食道炎の再発を防いでいくことができるでしょう。
最後に
今回は、逆流性食道炎で咳や胸痛の症状が出る原因と対処法について見てきました。逆流性食道炎が再発しないか気になる方は、最後に挙げたチェック項目を確認して再発予防に努めてください。