薬剤耐性を獲得した細菌として話題を呼び、人々を不安の渦に巻き込んだマイコプラズマ肺炎。しかし、しっかりと対策を取っていれば、感染を未然に防ぐことのできる病気です。ここでは、マイコプラズマ肺炎の感染力・感染経路について解説していきます。
原因菌について
マイコプラズマ肺炎の原因菌は、マイコプラズマと呼ばれる細菌です。この細菌は特徴として細胞壁を持っていない細菌であることからウイルスと細菌の中間的な生物とも呼ばれています。
一般的な抗生物質では効果がありませんが、対応する抗生物質がありますので、それを服用することで治療が可能です。
感染力について
マイコプラズマ肺炎の特徴の1つに潜伏期間が長いというものがあります。具体的には、2-3週間にもわたり体内に居座り続けます。
この期間中は症状が出ませんが、他の人にうつる可能性があります。さらに、症状が出てから治るまでにも1-2週間の時間を要します。
潜伏期間と発症してからの期間を合わせると1ヶ月近くも感染の可能性がある状態が続きます。そういった意味では、マイコプラズマ肺炎の感染力は強いと言えるかもしれません。
また、マイコプラズマが厄介なのは、一度感染して免疫を得ても、その免疫機能が長く続かないことです。
毒性が比較的低いため、発症することが少ないことも影響してか、一度免疫細胞は作られますが、すぐになくなってしまいます。
そのような性質からワクチンなども無意味ですので、一度感染しても再び感染する可能性は充分にあります。
感染経路について
マイコプラズマの感染経路のほとんどは、咳やくしゃみなどの飛沫感染によるものです。マイコプラズマは自然界に存在しており、人以外では豚にも感染する細菌です。
感染しても必ずしも発症するわけではなく、むしろ発症することが比較的低いものですので、菌保持者による飛沫感染によって拡大していく傾向があります。
また、マイコプラズマ肺炎を発症した人と接触することで感染する接触感染も確認されています。
最後に
マイコプラズマ肺炎は、かつて異型肺炎と呼ばれていましたが、最近では、主な原因菌がマイコプラズマであることから、異型肺炎という呼び方をせずにマイコプラズマ肺炎と呼ばれるようになっています。
小さな子が感染しても重症化するケースはほとんどなく、風邪の症状で治まってしまいます。頻繁に感染・発症するのは小学生くらいの年齢層が多いので、秋から冬にかけての流行期には気を配っていきましょう。
成人でも発症することがありますし、特に成人では、自己判断しがちですが、風邪と思っても流行期には医療機関へ行っておくことをお勧めします。
マイコプラズマ肺炎では、熱が下がった後でも咳が1週間以上続くことも珍しくありませんので、できるだけ医療機関へ行っておくようにしましょう。