いくつかある狭心症の種類の中でも、最近になってようやくわかってきたと言われている微小血管狭心症ですが、その診断はなかなか難しいのが現状です。今回は、この微小血管狭心症について考えてみたいと思います。
微小血管狭心症とは
狭心症といえば、心臓の筋肉である心筋が必要とされる酸素や栄養が、冠動脈が狭くなることで足りなくなって胸の痛みなどが起こる疾患ですが、微小血管狭心症を発症するしくみは少し違います。
冠動脈には異常がないのに、心筋にある細い血管が狭くなって胸痛などの症状を起こすのがこの微小血管狭心症なのではないかといわれています。
アメリカでは1980年代に証明されましたが、日本では2010年になって狭心症のガイドラインの中に書き込まれました。冠攣縮性狭心症も冠動脈のケイレンによって起こりますが、もっと太い血管がケイレンすることで起こります。
症状一覧
微小血管狭心症は睡眠時や就寝前、リラックスしている時など安静時に起こります。5分~半日くらい続くこともあります。主な症状をあげてみます。
- 胸の広い範囲で痛みを感じる
- 胸が締め付けられるような激しい痛み
- 背中の痛み
- 胃の不快感
- 吐き気
- アゴや奥歯の痛み
原因一覧
冠攣縮性狭心症は男性に多くみられ、早朝に起きやすいといわれていますが、微小血管狭心症はこれと対象的で女性に多く睡眠時などの夜中の起こります。とくに40代後半から50代前半の人が多く、これは更年期の女性に重なります。
この年代の10人に1人が、この狭心症を発症しているという人もいます。原因は女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。
エストロゲンには血管を拡げる働きがあります。更年期になるとエストロゲンが減少するため血管が収縮してしまい、胸痛を起こすと考えられています。
症状を発症する誘因
- 手足の冷え
- 過労
- 睡眠不足
- ストレス
- 寒暖差
治療法・治療薬
狭心症の発作時にはニトログリセリンが有効ですが、微小血管狭心症においてはこの薬が効きません。ニトログリセリンは冠動脈の太い血管にはよく効きますが、細い血管には作用しにくいのです。
しかし、突然死を起こすことはほとんどないので、もし発作が起こったら腹式呼吸をして落ち着くまで安静にするようにしてください。
治療薬にはカルシウム拮抗剤が使われます。これは一般的に血圧を下げる効果がある薬ですが、脈を下げて血管を拡げる作用もあります。その他に更年期の治療として、ホルモン補充療法を行うこともあります。
まとめ
微小血管狭心症は、心電図やレントゲン検査ではなかなかわからない疾患です。安静時に胸の痛みなどを感じ、更年期の症状もあるようならこの病気を疑ってみてください。医師に相談して自分に合った治療法を見つけてもらいましょう。