
手湿疹をワセリンとラップを使って治す簡単な自己治療法をご存知でしょうか。「ワセリンラップ」「ラップ療法」「湿潤療法」「モイストヒーリング」「閉鎖療法」「潤い療法」などと呼ばれています。手湿疹をワセリンラップで治すことは可能なのでしょうか?
やり方
- 手を水でよく洗う (消毒はしない)
- ワセリンを塗ったラップで保湿する
とやり方は非常に簡単です。毎日きちんと洗い、ラップを1日2-3回交換するのもポイントです。
メリット
そもそも冬に起こる手湿疹は、皮膚は表面にある皮脂膜がなくなり、本来は皮脂膜が担っていた水分の保持や外的異物からのバリア機能が失われて起こる現象です。
ならば、手を清潔にし、ワセリンで水分を補い、ラップで外的遺物が入らないようにするのは理に適っています。
ただし、夏に起こる手湿疹は「異汗性湿疹 」と呼ばれ、汗が外に出ず皮膚内の酸性度が下がり、汗疹の特徴と湿疹の特徴が混ざりあっています。
異汗性湿疹 には、ワセリンラップは不適切と言われているため、医師に確認を取った方が良いかと思われます。
注意点
ワセリンを付けすぎない
ワセリンは油で表皮を覆うだけで浸透効果はありません。肌が敏感な状態になっている時に、たくさん塗り過ぎると、逆に熱を発散しなくなり、痒みが増してしまう場合があります。
手袋の通気性に注意
ワセリンラップをして、その上から手袋をはめる場合がありますが、通気性の良い手袋を選んでください。密閉してしまうような手袋を使用すると、ワセリンを多く塗り過ぎた時と同様、熱がこもり、痒みやかぶれに繋がります。
消毒はNG
手洗いはOKですが、薬による消毒までしてしまうと、皮膚の修復を行う菌までも殺されてしまい、返って治りが悪くなります。
デメリット
軽度の場合や使用法を間違えなければ問題ないと思われますが、念のため医師の診断を受けた方が安全です。また、化膿が発生した場合は速やかに医師の診察を受けてください。
応用編
ワセリンラップは、全ての軽度の創傷に有効です。ただし、以下の場合は、適用せず、医師による診断・治療を受けてください。
- 動物による咬み傷 → 狂犬病、破傷風等の危険性がある。組織の一部を噛み千切られた場合なども抗生物質の服用が必要になってきます。
- 深さと大きさが、数cm平方を超える擦過傷、しびれや運動障害が見られる切創 → 神経や腱の損傷が疑われます。
- 出血が多く、絆創膏やガーゼ程度では止血が維持できない創傷。汚染がひどく、創感染を発症する可能性のある創、ないしは受傷直後の汚れた外傷 → 土壌中には破傷風菌を含む多くの菌がいるため、専門医による創洗浄などが必要となってきます。
- 受傷初期において、1-2日が経過しても治癒の進行が無いか、遅いように見える場合、悪化する場合。
- 患者が抵抗力が弱い場合。 (乳幼児、老人等、糖尿病患者、その他の易感染性患者など)
- 有害な生物・化学物質による皮膚傷害、または傷が有害な生物・化学物質に接触した場合。
- 受傷直後で専門医によって、深達度診断がなされていないような熱傷。
最後に
結論としては、ワセリンラップで手湿疹を治すことは可能です。ただし、夏に多い異汗性湿疹の場合、効果はないので、普通の手湿疹なのか、異汗性湿疹なのかを知った上で実践するようにしましょう。