
一口に湿疹といっても、その原因や症状はさまざまです。ここでは、代表的な湿疹の種類とその原因・症状をご紹介します。正しい治療を行うためにも、代表的な湿疹についての知識を身に着けておきましょう。
乳児湿疹
乳児湿疹とは、新生児の頃から起こる赤ちゃんの肌トラブルの一種で、主に顔や身体の一部に見られる湿疹の総称です。
代表的なものは「乳児脂漏性湿疹」や「新生児ニキビ」の2つですが、他にも「あせも」や「アトピー性皮膚炎」なども含まれます。
乳児脂漏性湿疹は、首から上にできることが多いです。新生児ニキビも、ほほやおでこに湿疹が出やすいとされています。
どちらも皮脂分泌が多い部位にできやすく、自然に治る場合がほとんどですが、赤ちゃんの肌を清潔に保ってあげることが必要となります。
頭皮湿疹
頭皮に湿疹ができる原因もさまざまです。ここでは代表的な4つを取り上げてみていきましょう。
脂漏性皮膚炎
乾燥したフケ、Tゾーンや生え際などがべたついたり、赤くなってかゆみを伴ったりする場合は、脂漏性皮膚炎の可能性が高いです。
皮脂の分泌が盛んなところに起こりやすく、「真菌(カビ)」の一種であるマラセチアの増殖が原因とされています。
皮脂欠乏性皮膚炎
空気が乾燥しやすい冬場などに、過度な洗髪などで頭皮まで乾燥してしまう場合があります。脂漏性皮膚炎とは反対に皮脂が欠乏して発症し、かゆみや赤みが出ます。この乾燥による頭皮湿疹は、乾燥肌の方やアトピー性皮膚炎の方に発症しやすいようです。
アトピー性皮膚炎
アレルギー反応が原因で起こる湿疹です。顔や耳、肘や膝の裏に湿疹ができるのが特徴とされていますが、頭皮にも湿疹ができる場合があります。
接触性皮膚炎
皮膚に直接接触した物質の刺激またはアレルギーが原因で生じる湿疹です。頭皮の場合は、シャンプーやリンス、トリートメント、整髪剤やヘアオイルなどが原因物質となることが多いようです。
脂漏性湿疹
脂漏性湿疹は大きく赤ちゃんに起こる「乳児脂漏性湿疹」と思春期以降の成人に起こる「脂漏性湿疹」に分かれます。赤ちゃんは自然治癒することが多いのですが、成人では慢性化するケースが多いです。
脂漏性湿疹は、皮脂の分泌が多いところ、つまり皮膚やTゾーンなどに起こりやすい湿疹です。かゆみや赤みを伴い、皮膚が荒れて乾燥したり、べろっと皮膚がはがれてくることもあります。
頭皮の脂漏性湿疹の場合は、乾燥して剥がれた皮膚をフケだと勘違いし、放置しておくうちに、皮脂が酸化してしまい、加齢臭のような臭いを放つこともあります。
成人の脂漏性湿疹の原因はたくさんありますが、主にマラセチアという真菌が深く関わっているとされています。
マラセチアは「常在菌(人間の皮膚に普段から存在する菌)」ですが、皮脂の多い環境を好み、増殖します。マラセチアの代謝物が肌に炎症を引き起こすのです。
男性ホルモンが皮脂分泌を促進するため、男性に起こりやすいと言われていますが、ホルモンバランスの乱れなどにより、女性にも少なくない湿疹の1つです。
他にも、ストレスやビタミンB群の不足、洗顔や洗髪の際のすすぎ不足や洗いすぎ、生活リズムの乱れなども原因とされています。
手湿疹
手のひらや指に湿疹ができる手湿疹は、職業や家事などで水や洗剤などに触れる機会が多い方や乾燥肌の方に見られます。
美容師や理容師、調理師の他に、主婦にできることが多いため、「主婦湿疹」とも呼ばれます。空気が乾燥する秋から冬にかけて悪化し、空気の乾燥や熱いお湯による食器洗いなども悪化の原因です。
また、化学物質や植物・金属など、手で直接触れたものに対するアレルギー反応によって湿疹が生じる場合もあります。
手のひらや指の皮膚が乾燥して肌のキメが荒くなり、赤い斑点のようなものがみられます。指先が荒れて乾燥してくる場合と、指と指との間に赤い斑点が次第に広がっていく場合があります。
悪化すると、皮膚が硬くなってひびが入ることもあります。強いかゆみがあり、かくことでさらに症状が悪化してしまいます。
ここで特に気を付けていただきたいのは、手のひらだけでなく、足の裏などにも同じ症状がみられる場合です。
この場合は、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」や「白癬菌(はくせんきん)による水虫」、「カンジダによる感染症」も考えられますので、必ず皮膚科での診察を受けましょう。
陰嚢湿疹
男性の5人に1人は股間の悩みがあるそうですが、陰嚢湿疹は陰嚢の裏側に湿疹ができてしまう病気です。
特徴的な症状は「とにかくかゆい」ことで、かきだすととまらなくなってしまい、湿疹の部分をかきむしるとかさぶたになり、さらにかゆくなって悪化するという厄介な病気です。
陰嚢湿疹で悩んでいる方の半数近くは夏場に症状が最も悪化するようです。というのも、汗やムレなどが原因となる方が多いためです。
しかし、冬の乾燥でかゆみを感じる方もいますし、1年中かゆみに悩まされている方も少なくありません。
特に好発年齢等はありません。しかし、場所が場所だけに、皮膚科に行くのに抵抗を感じてしまい、適切な治療を行えずに慢性化してしまうことが多いので、できるだけ早期に皮膚科への受診をおすすめします。
日光湿疹
日差しの強い夏の季節に起こりやすい日光湿疹。日光を直接浴びることが多い顔や腕などによく見られます。
日光湿疹は紫外線による炎症で、赤いぽつぽつとした湿疹や水ぶくれ、赤みややけどの跡のようなものができることがあります。
また、長い間強い日光に当たった場合は、皮膚の症状だけにはとどまらず、熱射病や高熱、脱水症状を引き起こすこともあります。
ここまで悪化してしまった場合、命にかかわる危険な状態であるため、病院での治療が必要です。早めの受診をオススメします。
慢性湿疹
一時的な湿疹を急性湿疹というのに対し、湿疹の再発を繰り返し、皮膚が乾燥して厚く硬くなってきた状態を慢性湿疹と呼びます。
急性湿疹は軟膏や内服薬などの治療で速やかに改善する場合がほとんどですが、慢性湿疹のように繰り返す湿疹の場合はアレルギーや免疫機能、身体状態、精神状態、ストレスなどが引き金となっていることもあるため、詳しく検査をして原因を調べることが必要です。
まとめ
このように湿疹にもたくさんの種類がありますが、身体全体に関わる重大な病気の初期症状である場合もあります。まず皮膚科を受診して、適切な治療を受けることがどの湿疹においても大切です。