「肝硬変」と聞くとお酒を飲みすぎる人がかかる怖い病気、というイメージがぱっと浮かぶように知名度の高いキーワードですが、「非代償性肝硬変」と言われるとよくご存知ない方がほとんどだと思います。では、非代償性肝硬変とは一体何のことなのか、まとめてみました。
原因は?
非代償性肝硬変とは簡単に言うと、すでに症状が出ている状態の肝硬変です。肝硬変には肝臓がまだ能力を発揮し、機能している状態の代償性肝硬変と、これに対し肝臓がその機能を失い進行した結果、症状として重い異常が出ている状態のことを言います。
肝硬変の原因としてはアルコール過多の状態が長く続いたことが原因で進行するアルコール性肝硬変が有名ですが、日本人にとって肝硬変の原因はB型肝炎・C型肝炎ウイルスといったウイルス系で、特にC型肝炎ウイルスは全体の6割を占めるものとなっています。
症状は?
非代償性肝硬変まで進行すると、腹水や全身のむくみ、黄疸、肝性脳症やくも状血管腫、吐血・出血といった症状が発生します。またホルモンバランスの崩れにより男性がの乳房が膨らむ女性化乳房が見られたり、肝がんの発生確率が格段に高まります。
食道静脈瘤・肝不全・肝がんは肝硬変の三大合併症と言われ非常に危険な状態です。非代償性肝硬変は放置しておいて良化することはなく、治療しなければ死に至ります。
治療は?
非代償性肝硬変はステージとしてはかなり進行した状態です。治療は出てきた合併症の症状に対する対処療法を行い、その進行を食い止めることが目標となります。
腹水に対しては利尿剤を使用しむくみを取る、肝性脳症に対してはアンモニアを下げる薬を使用し解毒状態にするといったような一つ一つの症状に対して治療を行います。
また、症状によって塩分制限や水分制限、タンパク質制限がそれぞれのケースによってあてがわれることになります。なお、肝硬変の5年後の生存率は50%以上と言われており、医師の診断に基づいた適切な治療を受けることが生存率向上の絶対条件となります。
まとめ
肝硬変の多くの原因となっているB型やC型ウイルスの肝硬変は近年の研究で、早期の代償性肝硬変の段階でウイルスを除去することで状態が改善されることが期待されるようになってきていますが、アルコール性のように生活習慣となっているものも依然多くあります。
肝臓の状態が悪化する前に規則正しい生活習慣を身につけ、ステージの悪化につながらないようにすることが最も大事なことだと言えるでしょう。