抗生物質とはいったい何でしょうか?簡単に言えば、増殖した細菌(悪い菌)の発育を阻害する薬です。人は様々な菌と共存しています。しかし、そのバランスを崩すと人間にとって有益でない働きをする菌が増殖し、感染症を引き起こします。
感染症といってもインフルエンザのようなものはウイルスが原因で細菌ではないので、抗生物質(抗生剤)は聞きませんが、それ以外の細菌が原因の病気は、抗生剤が有効です。
代表的なものは、溶連菌感染症、細菌性の肺炎、百日咳、とびひなどです。その際は抗生物質が威力を発揮します。ここでは、そんなカンジダと抗生物質の関係性についてまとめていきます。
どんな種類の抗生剤があるの?
抗生剤は、どれを飲んでも良いわけではなく、それぞれに効く菌が違うため、正しく飲まなければ効き目がないという事です。
種類は、
- ペニシリン系
- セフェム系
- テトラサイクリン系
- マクロライド系
- ニューキノロン系
などがあります。
その病気に合う抗生剤を飲んで治療し、一件落着かと思いきや「カンジダ」になったという話はよく聞きます。それでは、なぜカンジダになるのでしょうか?
カンジダとは何?
カンジダとは、「真菌(白癬菌)」と言ってカビの一種です。人間に元々いる常在菌ですが、増殖するとかゆみがでたり、赤くただれたりなど悪さをします。また、人間の体の繁殖する場所によりそれぞれ名前が変わってきます。
例えば、頭部にできると「しらくも」、口にできると「鵞口瘡」、股にできると「いんきんたむし(カンジダ膣炎)」、足の裏や爪にできると「水虫(爪白癬菌)」と呼ばれています。
抗生物質を飲むとなぜカンジダになりやすいか?
抗生物質は上にも書いた通り、細菌にのみ有効です。インフルエンザなどのウイルスには効かないと書きましたが、それだけでなく「真菌のカビ」にも効きません。
細菌には、善玉菌と悪玉菌があり、人間にとって有益か無益かで分けられて表現されています。例えば、皮膚にいる善玉菌は、表皮ブドウ球菌といって皮膚の潤いを保つのに一役買ってくれています。
悪玉菌は、黄色ブドウ球菌といい、こちらが繁殖するとアトピー性皮膚炎になります。形状が似ているため、ブドウ球菌と言われていますが働きが全く違います。
このように良い菌と悪い菌がいるわけですが、抗生物質は、このどちらの菌も除菌してしまいます。それにより、薬を飲み終わり治癒した時には、無菌に近い状態になるという事です。
今までは、善玉菌がいたことにより、カンジダが悪さをせずに適度に抑えられバランスを保っていのですが、その善玉菌がいなくなることにより、カンジダが繁殖して菌交代が起こることでです。
カンジダは防げないのか?
無菌状態になってしまい善玉菌がいなくなることが問題になります。それを防ぐには、善玉菌を増やすことです。善玉菌は食事や乳酸菌などのサプリメントで取れますし、お医者さんによっては治療中に、ビオフェルミンなどの善玉菌を増やす薬も同時に出してもらえる場合もあります。
処方されなくとも、善玉菌を増やす食生活(和食中心のもの)をしたり、ヨーグルトを食べたり、サプリメントをとったりすることで発症が抑えられるので、抗生物質治療中は、積極的に善玉菌を増やすことを意識してみましょう。
まとめ
フレミングが「ペニシリン(抗生物質)」の発見をしてから78年あまりたちますが、次から次に新種の菌やカビが出現して、人間と菌・カビとのいたちごっこが続いています。
菌やカビと言っても良いもの・悪いものがいるわけですから、いかにそれらと仲良く共存していくかが、今日の問題のように思われます。