突然襲ってきた激しい腹痛で病院へ行ったら、緊急手術になったというケースも多い虫垂炎。そんな場合に備えて、手術方法について知っておきましょう。ここでは、虫垂炎の手術法についてまとめていきたいと思います。
虫垂炎とは
虫垂炎とは、盲腸の先にある虫垂と呼ばれる部位が、なんらかの原因で、腸内細菌、あるいは、細菌やウイルスが虫垂に感染することによって、炎症を引き起こした状態です。
放置して、虫垂が破れてお腹の中に炎症が広がる(腹膜炎を起こす)と命に関わる場合もあります。原因は、明確にはなっていませんが、ストレスや便秘、糞石が虫垂に溜まるなどが原因となるといわれています。
主な症状は、腹痛や嘔吐、発熱です。腹痛は、初め上腹部の痛みから始まり、徐々に右下腹部へ痛みが移動していくのが特徴です。
治療法には、手術による虫垂の切除と抗菌剤投与で炎症を抑える方法があります。手術方法には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。それぞれの手術法についてまとめます。
開腹手術
開腹手術は、古くから行われている手術です。現在は、炎症が強い場合や、虫垂が破れて腹腔内に炎症が広がっているなどの重症な場合に開腹手術が選択されるようです。
手術は、腰に麻酔薬を注射する腰椎麻酔または、脊髄を包んでいる硬膜の外側にカテーテルを入れて麻酔する硬膜外麻酔で行われますが、状態によっては、全身麻酔で行われる場合もあります。術後の入院期間も含めて、7~10日くらいの入院となります。
虫垂のある右下腹部を5cmほど切開して、虫垂の根元を縛って、虫垂を切除します。腹膜炎を合併している場合は、お腹の中をきれいに洗浄して、膿を排出するために腹腔内にドレーンを入れます。切開部を縫合して終了します。
腹腔鏡下手術
腹腔鏡下手術は、炎症が軽い場合や大きな合併症が見られない場合に選択されます。手術は、全身麻酔で行われます。
傷口が小さく、術後の回復も早くなるため、開腹手術に比べ、身体への負担が少なくて済みます。入院期間は、3~5日くらいとなります。
腹部に3~4箇所、5mm~12mmの穴を開けます。腹腔内に炭酸ガスを入れて、視野を作ります。穴から内視鏡や手術器具を入れて、内視鏡の画像をモニターで見ながら、虫垂を切除します。
また、腹腔鏡下手術には、おへその近くに1箇所だけ穴を開けて行う、単孔式腹腔鏡下手術もあります。この場合、傷口はおへそで隠れるため、美容的なメリットがあります。
まとめ
虫垂炎の手術には、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。最近、虫垂炎の手術には、腹腔鏡下手術が多く選択されるようですが、術中、炎症が強い場合や出血が多い場合などは、開腹手術に切り替えられる場合があります。虫垂炎が疑われる腹痛に見舞われた場合は、腹膜炎に移行してしまわぬよう、早急に、病院を受診しましょう。