
うつ病は診断に役立つ特異的な所見や臨床検査所見というものがなく、病前の性格や治療への反応性など多角的にみていろいろと判断されてきましたが、国際的に共通した診断基準を作ろうという流れの中で、2つの診断基準が示されています。ここでは、そんな軽いうつ病の症状やうつ病の判断基準についてまとめていきます。
目次
軽いうつ病の症状
軽いうつ病の症状は、抑うつ気分や興味と喜びの喪失、疲れやすいといった症状がありますが、日常生活や仕事を続けることが大変であっても、がんばればなんとかできるというレベルのものです。
健常な人でも、朝は調子が悪いとか、1日のうちで気分の変動が見られたりしますが、健常な人との区別として2つのうつ病の診断基準があります。
1つがWHO(世界保健機構)により定められている「ICD-10」で、もう1つが米国精神医学会により提唱されている「DSM-5」です。
ICD-10による診断基準は?
ICD-10によるうつ病診断基準は、WHO(世界保健機構)により定められてて、うつ病のエピソードとして、次の3つの大項目と7つの小項目、計10項目について評価します。
大項目
- うつ気分
- 興味や喜びの喪失
- 疲労感の増加
小項目
- 自信の喪失
- 無価値感や罪責感
- 自殺など死を繰り返し考える
- 将来に対する不安や悲観的な考え
- 思考力、集中力、決断力の低下
- 体重と食欲の変化
- 不眠など睡眠の変化
判断基準は?
以上の項目にどのぐらい該当するかによって、軽症なのか中等症なのか、重症なのか判断されます。
軽いうつ病は、3つの大項目のうち2つ該当し、さらに7つの小項目のうち2つが該当し、なんとか日常生活や仕事はできている状態が該当します。
ちなみに小項目が4つあてはまり、日常生活や仕事を続けることが困難と判断される場合は中等症、大項目が全て当てはまり、小項目も4つ当てはまり日常生活や仕事を続けることが困難な場合は重症というような判断になります。
DSM-5によるうつ病診断基準
DSM-5によるうつ病診断基準は、米国精神医学会により提唱されていて、うつ病のエピソードとして、2つの大項目と7つの小項目の計9項目について評価します。
大項目
- 抑うつ気分
- 興味・喜びの著しい減退
小項目
- 著しい体重減少・増加(1か月で5%以上)、または、ほぼ毎日の食欲の減退・増加
- ほとんど毎日の不眠または睡眠過剰
- ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止
- ほとんど毎日の疲労感または気力の減退
- ほとんど毎日の無価値観、罪責感
- 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる
- 死についての反復思考
判断基準は?
2つの大項目についてはどちらかは必ずあり、5つ以上の項目が2週間以上続いていて、苦痛を感じ、生活に支障がでている場合に、うつ病と判定されます。
うつ病の診断基準の注意
うつ病の診断基準は、ICD-10にしろDSM-5にしろ、9~10項目でのエピソードなので、一見簡単に見えますが、実施には、患者自身の言動や他者の観察などを含め、エピソードとして列挙されている項目があるかどうかを確認していかなければならず、きちんと判断するためには、十分な熟練と同時に観察力などの注意も必要となります。
まとめ
軽いうつ病は、健常者との区別がつきにくい部分があります。うつ病の診断基準には、ICD-10やDSM-5といったものがありますが、患者の言動などもきちんと見極める必要があり、熟練の技と注意力が必要になります。素人判断しないで、熟練した医師などにきちんと判断してもらう必要があります。