内視鏡などさまざまな検査をしても、特に胃腸に異常は見られないけれど、なんとなく胃がつかえる感じがある消化不良や吐き気、急な下痢、めまい、日頃から疲れやすいなどの症状が慢性的にあり、日常生活に支障があるような人に医療機関で漢方薬の六君子湯が処方されることがあります。
こちらの漢方薬は、ドラックストアやネットでも手軽に購入できたりします。さて、今回は、六君子湯にはどんな効果があるのかやうつ病になる可能性はあるのかなどについてご紹介致します。
目次
六君子湯とは
慢性的に胃腸が弱く、手足の冷えなどもあり、胃の働きがよくないために気の停滞が起こっているような人に、気の巡りを回復させる効果のある漢方薬の六君子湯が処方されます。
六君子湯は、胃腸の症状では、食欲不振や胃がつかえる感じ、胃痛、嘔吐、下痢に対して、疲労感などの症状では、貧血やめまい、肩こり、冷え症、むくみに対して効果が期待されています。
六君子湯の8種類の生薬は?
蒼朮(そうじゅつ)
水分代謝を整える作用があり健胃利尿剤として使用されます。発汗作用があります。
茯苓(ぶくりょう)
鎮静、鎮痛、強心、利尿剤として使用され、むくみの改善などに効果がりあます。
人参(にんじん)
食欲不振、消化不良、嘔吐、下痢、の改善、疲労回復、抗ストレス作用、肝機能改善に使用されます。
半夏(はんげ)
吐き気止めや喉の痛みに効果があり、胸や腹部の膨満感があり、お腹がゴロゴロしているような水分の停滞や代謝異常を改善する作用があります。
陳皮(ちんぴ)
胃液の分泌を促進させる作用で食欲増進や、腸管にたまったガスを排出させる作用があり吐き気止め効果や、抗炎症、抗アレルギー作用もあります。
甘草(かんぞう)
鎮痛鎮痙、咳や痰の改善、抗炎症作用、肝障害の抑制、抗アレルギー作用や、解毒作用があります。胃酸分泌抑制作用により胃潰瘍の治療にも使用されます。
生姜(しょうきょう)
食欲増進の健胃効果や殺菌作用、発汗による解熱鎮痛効果、血流改善の効果などがあります。
大棗(たいそう)
健胃消化や滋養強壮効果として使用される他、抗ストレス作用もあるため、鎮痛鎮痙や精神神経用薬としても使用されます。
六君子湯でうつ病になる可能性は?
六君子湯は、胃腸の不快症状があるのに、内視鏡検査などを行っても胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの異常がみられない場合に処方されることがあります。
慢性胃炎や神経性胃炎といわれていますが、近年は「機能性ディスペプシア(FD)」といわれるようになってきて、胃炎などの症状がみられなくても、不快症状があれば、FDという診断がされます。日本人の4人に1人はFDの症状がみられるというデータもあります。
精神科などの医療機関でも、うつ症状を持つ人の神経性の胃腸不快症状改善に六君子湯が処方されることのある注目されている漢方薬です。
また、人によっては、体質により合う薬と合わない薬があります。六君子湯にも副作用はあり、脱力感や筋肉痛、手足のだるさ、こわばりやしびれなどの症状が出ることがあります。
肝臓の機能障害が起こると、からだのかゆみや、発疹、黄疸、発熱、食欲不振や全身のだるさなどの症状が出ることもあります。このような症状がうつ症状と似ているため、六君子湯はうつ病になるという噂に繋がっているのかもしれません。
強い副作用が出た場合は、自分の体質に合っていない場合もあるので、無理して飲み続けず早めに医療機関を受診し診察を受けましょう。
まとめ
胃腸の不快症状は、外出することが怖くなったり、日常生活を送る上でさまざまな障害になったりして、気持ちまでふさいでしまいます。
医療機関できちんと検査をおこなっても異常がみられないのに、一向に体調が改善していかない場合には、六君子湯を、健康な生活を取り戻すためのひとつの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。