軟膏と言えば「オロナイン軟膏か、ゲンタシン軟膏か」と言っても過言ではないゲンタシン軟膏ですが、使う場所に制限はあるのでしょうか。ここでは、ゲンタシン軟膏の陰部への効果と注意点について解説していきたいと思います。
ゲンタシン軟膏とは
ゲンタシン軟膏はゲンタマイシンというアミノグリコシド系抗生物質を有効成分とする皮膚科領域の感染症に用いられる外用の抗菌薬です。
アミノグリコ系の抗生物質は細菌のたんぱく質合成を阻害することで殺菌作用を示します。ブドウ球菌などのグラム陽性菌や緑膿菌などのグラム陰性菌に強い抗菌力を示します。ちなみにステロイドは含まれておりません。
形状としては半透明で非常に塗りやすく、臭いもほとんどありません。非常に古い外用抗菌薬で古くから皮膚感染症の治療に幅広く使われています。
ゲンタシン軟膏の適応症は表在性皮膚感染症で、やけどや虫刺され、切り傷などからの細菌感染症に効果を発揮します。陰部のかゆい部分を掻くことで、その場所が膿んでしまった場合などに効果が期待できます。
子どもさんのオムツかぶれにもステロイドが入っていないこともあり、よく使われています。また刺激や副作用も少ないので、女性のデリケートゾーンにも使いやすいのではないでしょうか。
陰部への使用は?
女性は生理による陰部のかゆみや荒れ、ニキビ、ナプキンの擦れなどによるできものなど肌トラブルが起こりやすいので使う機会は多いと思います。
とはいえ、そもそもゲンタシン軟膏は外用の抗生物質ですので、かゆみやニキビなどの炎症を抑える薬剤ではありません。
このかゆみなどの症状を改善させるためにはリンデロンなどの軽いステロイドを用いる必要があります。その点は認識しておかなければなりません。
あと、水虫には効果がないということも知っておいてください。よく水虫を細菌と考えて効果を期待する方もいらっしゃいますが、水虫は細菌ではなくカビ=真菌なのです。
副作用としては過敏症などの報告はありますが、副作用自体がほとんどない薬剤です。まれに長期間使用することでめまいなどが起こるという報告もありますが、ほとんど気にしないでもよいレベルだと思います。
また仮にゲンタシン軟膏を塗布することで、かゆみや発疹が発生した場合は処方元の先生にご相談ください。それと、ゲンタシン軟膏はとてもベタつきが多いので陰部に塗布する場合は塗る量を調整する必要があります。
多く塗ってしまうとべたべたして気持ち悪いので、なるべく薄く塗るようにしてください。しっかりと塗る必要がある場合には塗った部分にガーゼなどを当てておくなどの工夫が必要です。
最後に
今回は、ゲンタシン軟膏の陰部への効果と注意点について解説してきました。最後に直接陰部に対しての注意ということではありませんが、塗った手・指で目をこすったりするのは絶対に避けてください。