口内炎は口腔内の粘膜の部分などに、ウイルスや細菌感染により起こる場合や、過労やストレス、栄養バランスの崩れなどでも発症します。
通常は、1週間~2週間くらいで回復しますが、胃腸障害、ベーチェット病などなんらかの病気があることにより発症することもあります。これらほとんどの場合の症状は、食べ物がしみるなどの痛みが伴います。
しかし、口腔内に口内炎ができているのに、痛みがほとんどない場合もあります。ここでは、痛くない口内炎の原因や対処法についてご紹介致します。
粘液嚢胞
痛みのない口内炎の場合、「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」の可能性があります。頬の粘膜の下、舌、唇、には、小唾液腺があり、唾液の分泌がおこなわれ、口の中の粘膜を常に湿らせておく働きをしています。
小唾液腺からの分泌がうまくいかずにまわりの組織中に唾液がたまってできた嚢胞のことを粘液嚢胞といい、5mm~1.5mmの丸くやわらかい水ぶくれのようなものが口の中にでき痛みはありません。
原因は歯の先端があたっていたり、粘膜を噛んだりしているうちに、できてくるといわれています。頬の内側や下唇を噛んでしまったときに、粘膜が傷つき小唾液腺が詰まってしまうことにより発生します。
粘液嚢胞がつぶれて破れると、いったんはしぼみますが、また数日で唾液が溜まりもとに戻ってしまい、何度も繰り返しているうちに大きくなっていく場合もあります。
気になるようであれば口腔外科で麻酔をしての切除を行う方法もあります。そのまま様子をみた方がよいのか、切除した方がよいのかは、自己判断は難しいので、専門医の診察を受け相談してみましょう。
口腔がん
口腔がんとは、舌がん、口腔粘膜などの口腔にできるがんのことをいいます。口腔がんは、自己判断では、口内炎と区別がつかないものもあります。
痛みを感じないものも多く、見逃されやすく、口内炎だと思いそのまま長い間放置してしまいかなり進行してからの発見ということも少なくありません。
通常口内炎は、2週間程度で治ることが多いので、3週間以上続く場合は他のなんらかの病気の可能性もあります。
【口腔がんの自覚症状一覧】
- 痛みを感じることはほとんどない
- まわりの健康な組織と境目がはっきりしないできものや腫れやしこりがある
- なかなか治らない傷がある
- 白い斑点(白板症)がある
- 赤い斑点(紅板症)や粘膜のただれがある
- 食べ物の噛みずらさ、頬や舌の動かしずらさがある
- 舌がしびれる感じがする
- 首のリンパの腫れが3週間以上続いている
まとめ
口腔がんの種類には、舌がん、歯肉がん、口底がん、頬粘膜がん、口蓋がんなどがあります。口腔がんは目で確認できるがんのため、早期発見されやすいがんではないかと考えますが、痛みがないことや単なる口内炎ではないかと考えてしまい医療機関を受診したときにはかなり進行してしまっているという場合も少なくありません。
口の中になんらかの変化が起きた場合には、一度まずかかりつけの歯科医や内科医などを受診すると、詳しい検査などが必要な場合には、口腔外科などを紹介してもらえます。月に1度は鏡などを使い口腔内に変化がないかセルフチェック等もおこなうこともおすすめします。