私たちが今普通に呼吸をして生活していられるのは、内臓が休みなく働いているためです。その中でも心臓は、常に全身に血液を送るという重要な働きをしています。その心臓に不具合が起こると、たちまち生活レベルが低下してしまいます。
心臓病の中でもよく知られている狭心症ですが、狭心症には種類があり、症状や治療法などそれぞれに違いがあります。今回はその中でも労作性狭心症について考えていきたいと思います。
症状一覧
心臓に負担がかかることで起こる狭心症を「労作性狭心症」といいます。代表的な症状は胸の痛みになりますが、胸以外の場所にも様々な症状が出る場合があります。
- 胸が締め付けられる感じ
- 胸の圧迫感
- 胸が焼けるような感じ
- 胃の痛み
- 背中の痛み
- のどの痛み
- アゴの違和感や歯の浮くような感じ
- 左側の腰痛
- 左肩から腕にかけて痛みやしびれ
- 鎖骨の辺の痛み
- 息苦しさ
狭心症の発作は30秒から長くても15分くらいで落ち着いてきます。それ以上長い場合は、心筋梗塞の疑いがあることもあります。とりあえず上記のような症状を感じたら、すぐに安静にすることが大切です。
原因一覧
階段や坂道の上り下りなどの動作をすることで、いつもより身体に負担がかかると心臓への栄養がより多く必要になります。
心臓へ栄養を運ぶ道である冠動脈が、動脈硬化などのために硬化したり細くなることで心臓の筋肉である心筋に十分な酸素などが行き渡らなくなって起こる症状を、労作性狭心症と呼びます。その原因を見ていきましょう。
- 動脈硬化
- 高血圧
- 糖尿病
- 高脂血症
- 肥満
- 喫煙
- ストレス
- 重度の貧血
以上のようなことがあると狭心症を発症しやすくなりますが、発作につながるには直接的な誘因があることを忘れてはいけません。主な誘因をあげてみます。
- 階段を上る
- 坂道を上り下りする
- 急に走る
- 運動時
- 重い荷物を持って早歩きをする
- トイレで排便した時
- 激しい口論
- 強い興奮
- 寒いところから急に暖かいところへ行ったとき
治療法一覧
狭心症の治療法は大きく分けて「薬物療法」「カテーテル治療」「外科手術」の3つがあります。
①薬物療法
発作時は硝酸薬といわれる薬を使います。ニトロペン舌下錠やミオコールスプレーなどがこれにあたります。硝酸薬は冠動脈や末梢の血管を拡げて心臓の負担を軽減して発作を抑えるがあります。
発作時に使うのは主に舌下錠で舌の粘膜から素早く吸収されるため、1〜2分くらいで効き目が現れます。口の中が乾き気味のときはスプレーが良いでしょう。
カルシウム拮抗薬という高血圧の治療に使われている薬を処方されることもあります。これも血管を拡張させ心臓の負担を軽減して酸素の消費量を減少させます。
その他にも、血中コレステロールを低下させる薬やβ遮断薬などが使われています。
②カテーテル治療
股の付け根や手首からカテーテルと呼ばれる細い管を冠動脈内に挿入し、ステントなどを拡げて狭くなった血管を拡張する治療をします。
③外科手術
冠動脈バイパス手術と呼ばれ、胸の内側の動脈や腕の動脈などを取り出して冠動脈の狭いところから先の部分をつないで血流を改善させる手術です。
まとめ
運動時など胸の痛みなどを感じたら安静にして治まっても、労作性狭心症になっていることがあります。一度病院で詳しく診てもらって、突然の発作にならないように対処してください。