平成26年の厚生労働省による調査では、日本人の糖尿病患者数は316万6000人と前回の平成23年の調査時より46万6000人増えて、過去最高だそうです。もはや、他人ごとではないですよね。糖尿病が怖いのは、何と言っても合併症です。
糖尿病の合併症としては様々な病気が挙げられますが、今回は、その中でも、糖尿病が原因の壊疽「糖尿病性壊疽」の原因・症状・治療法(薬)についてまとめていきたいと思います。
なぜ糖尿病が原因で壊疽になるのか?
糖尿病と壊疽は、一見関連性がないように感じられるかもしれません。壊疽は通常、手や足に送られる血液や栄養の供給が止まってしまうことが原因で起こります。
血液や栄養が送り出されなくなる、細菌の感染など原因はさまざまですが、壊疽になりやすい人として以下のような方が該当します。
- 糖尿病
- アルコールや喫煙を長期にわたって摂取している人
- 肥満
- 高齢者
- 栄養失調
その他の因子をもつ方にも起こりえますが、糖尿病の元の原因となるアルコール、喫煙、肥満なども含まれており、こうした生活習慣を長く続けていて、糖尿病の診断が下された方は注意が必要です。
壊疽を引き起こす血液や栄養の供給力低下は、手足などの末梢神経障害です。これは、糖尿病の人の特徴である高血糖により引き起こされやすくなるのです。
壊疽の症状は?
壊疽とは、末梢神経に異常をきたしている状態なので、十分な血液や栄養が行き渡らないことにより、手足などのしびれや傷が治りにくくなるなどの症状が起こります。
さらに状態が悪化すると、完全に血管が閉塞してしまい壊死を起こすこともあります。すでに手遅れの場合は、手足の切断ということにもなってしまいます。
症状は突然起こるのではなく、じわじわと進行していき、最初は気がつかないこともあります。徐々に生じている体の異変を見逃さないように、しびれを感じたり、手足の傷が治りにくいと感じたらすぐに病院で診てもらいましょう。
壊疽になってしまった場合の治療法や治療薬は?
では、実際に壊疽になってしまったら、どのような治療が行われるのでしょうか?
これまでは、足が壊疽になってしまうと、切断処置がとられることが多かったのですが、最近では治療も進み、切断を回避する治療法も出てきました。
足の血管の狭小化や閉塞には、血管を拡げる「バルーン療法」、異常のある血管部分を避けて新しい血管を移植する「バイパス手術」などがあります。
まとめ
糖尿病になると、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症が起こる可能性が高まる怖い病です。
今回ご紹介した壊疽は、糖尿病患者のうち約0.7%の発症率と高くはないものの、決して軽視してはいけない疾患です。ならないためには、なにより予防が大切です。
足がむくみやすくなっていないか、しびれや麻痺を感じることはないか、傷が化膿したり治癒しにくくなっていないかなど、足の異常を感じたらすぐにフットケア外来のある病院や皮膚科の診察を受けましょう。