うつ病になると吐き気を催すことがあります。なぜうつ病になると吐き気を催すことがあるのでしょうか。また、吐き気はつらいものですが、どう対処したらよいのでしょうか?ここでは、そんなうつ病で吐き気が起こる原因や対処法についてまとめていきます。
原因は?
うつ病で吐き気が起こる原因のキーワードは「セロトニン」です。セロトニンは脳内の他、血液中や腸にも存在しています。
うつ病の原因にはいろいろな説がありますが、セロトニンという神経伝達物質の不足によるとする説が有力視されています。人間はストレスなどを受けると、セロトニンの機能が低下してセロトニン欠乏状態になってしまいます。
セロトニンは不安やイライラを抑えて、感情が暴走するのにブレーキをかけてくれていて、精神状態のバランスを保っていますが、欠乏状態になってしまうことで、気分に変調をきたしやすくなり、衝動的にキレたり、落ち着かなくなったり、うつ状態になったりしてしまいます。
一方、セロトニンは消化器官の粘膜にも多く存在しています。実は、身体にあるセロトニンのうち脳内にあるのはたった2%で、90%は消化管粘膜、残り8%が血液に存在しています。そして、セロトニンは消化管粘膜では、消化を促す働きをしています。
うつ状態でセロトニンが不足してくると、消化がうまくいかなくなり、胃の中に食べたものが長時間滞留し、これが吐き気の原因になります。吐き気だけでなく、消化の働きがうまくいかなくなるので、便秘や下痢といった消化不良により起こってくる症状が出てくる場合もあります。
また、うつ病の治療薬によって吐き気が起こるケースもあります。うつ病の治療薬の中には、脳内のセロトニンの濃度を高めるために、セロトニン受容体に働くものがあり、これが胃粘膜にあるセロトニン受容体にも作用することで、胃がムカムカして吐き気を起こしたりします。
対処法は?
うつ病で吐き気が起こっている場合は、原因はセロトニンの不足にあるので、うつ病を治療して、症状が改善されれば、それに伴って吐き気も治まってきます。
また、うつ病の治療薬の副作用によって起こってきている場合もありますので、ある薬を飲み始めてから吐き気が起こるようになった場合は、薬による副作用の可能性もあります。
たいていの場合は、この薬のよる吐き気は一時的なもので、1~2週間も立つと慣れてきてしまいますが、それでも治まらなかったり、どうしてもつらい場合はお医者さんに相談して薬を変えてもらうなどしても良いでしょう。
うつ病で吐き気がする場合は、セロトニン不足で消化能力が弱っていますので、普段のように食事をすると食べ過ぎで受け入れられずもどしてしまうこともあります。
食事はゼリータイプのものや飲料などで栄養をとり、徐々に消化の良いもの、喉ごしの良いものから、普段の食事に戻していくと良いでしょう。
まとめ
うつ病も吐き気も、セロトニンの不足が大きく関与しています。またうつ病の薬の副作用によっても吐き気が起こってくる場合があります。
吐き気はセロトニンによる消化機能の低下により起こってきているものなので、普段よりも消化の良いものを中心にとり、様子を見ながら普段の食事に戻していくと良いでしょう。