狭心症というと激しい運動などをした時に発作が起きるものだ、と思っている人も多くいますが、実は運動などの動作に関係なく起こるものもあります。今回は、そんな狭心症の一つ、冠攣縮性狭心症について詳しくみていきたいと思います。
冠攣縮性狭心症とは
冠攣縮性狭心症とは、心臓の筋肉へつながる冠動脈がケイレンを起こして縮むことで血管が一時的に狭くなり、血流が妨げられるために起こる狭心症です。
労作性狭心症と違って、睡眠時や安静時にも起こります。日本人に多く、欧米人の3倍ともいわれています。
瞬間的に起こるので心電図検査などをしても見つからないことがほとんどですが、狭心症の6割に冠攣縮が関係しているともいわれており、突然死を起こすこともあるので注意が必要です。
症状一覧
冠攣縮性狭心症は睡眠しているときや安静にしているときに突然起こります。症状は他の狭心症とほとんど変わりませんが、発作の時間は夜間から明け方が多くなっています。
- 胸の中央あたりからみぞおちにかけての痛み
- 胸の圧迫感
- 胸が締め付けられる感じ
- 息のつまり
- 左肩の痛み
- 背中、首の痛み
- 歯の違和感
冠攣縮性狭心症は小康状態にあっても自覚症状として、立ちくらみや耳鳴りがすることもあります。
原因一覧
冠攣縮性狭心症は男性に多く、喫煙は大きな危険因子と言われています。
その他にも…
- 寝不足
- 疲れ
- ストレス
- 飲酒
- 寒さ
などが原因になることがあります。
治療法・治療薬一覧
この狭心症の疑いがあるという診断が出たら24時間心電図検査を行います。発作が起こるのは一時的なので、病院で心電図検査をしてもほとんど見つかりません。そのためホルター心電図という一日中付けられる持ち運びができるものを使います。
診断を確定するために、心臓カテーテル検査を行います。冠動脈のケイレンが胸の痛みの原因として疑われる場合は、わざと冠動脈のケイレンを誘発させる薬を入れて確認することもあります。
主な治療法は薬物療法になりますが、必要に応じて心臓カテーテル治療を行うこともあります。それでは、薬物療法に使われる薬を見ていきましょう。
カルシウム拮抗剤
高血圧の治療に使われる薬です。血管を拡張させ心臓の負担を軽減し、酸素の消費量を減少させます。
硝酸薬
冠動脈や末梢の血管を拡張させて心臓の負担を軽減します。
β遮断薬
血圧を下げて心臓の動きを抑え、心拍を低下させます。心筋が必要とする酸素の量が減らして発作を防ぐ効果があります。
最後に
1年のうちに数回しか発作が起きない人から毎日のように発作に襲われる人まで様々ですが、発作の回数が少なくても治療は続けないといけません。主治医と相談して、発作が起きない生活を目指していきましょう。